そばチェーン「ゆで太郎」を展開するゆで太郎システムは、22年連続で黒字を達成している。その成長を支えるのは、「駅前一等地には出店しない」「職人は育てない」といった外食業界の常識にとらわれない経営だ。同社代表取締役・池田智昭氏の著書『ゆで太郎の儲かる仕組み -22年連続黒字を支えるがっちり経営術 - 』より、夜限定営業の「もつ次郎」誕生秘話を紹介する。
新規事業は「好き」から始まる
ゆで太郎に併設されている「もつ次郎」は、2020年に誕生したもつ煮定食専門店だ。お酒のつまみとしてではなく、ご飯と一緒に食べる日常食としてのもつ煮を提供している。
池田氏がもつ煮定食を好きになったのは、約40年前に埼玉へ単身赴任していた頃だった。東京ではもつ煮といえば居酒屋で食べるものという印象だったが、埼玉や群馬では、ご飯と一緒に食べる「もつ煮定食」が当たり前に根付いていた。初めて食べたとき、「こんなにご飯に合う食べ物があるのか」と感動したという。この体験が、もつ次郎を始める原点になった。
「好き」だけではなかった、2つの経営課題
もちろん、「好きだった」だけで始めたわけではない。当時、ゆで太郎には2つの経営課題があった。
1つは店舗の空きスペースだ。郊外型店舗は50~60坪ほどあるが、実際に必要なのは35坪程度。残ったスペースを壁で仕切り、そのまま使わずにいる店舗も少なくなかった。
もう1つは、夜の時間帯の集客だ。そばは昼食のイメージが強く、夕方以降は客足が落ちる。もつ次郎は夜限定で営業することで、この時間帯に新たな来店理由をつくる狙いがあった。
もつ次郎がもたらす思わぬ効果
もつ次郎は、ゆで太郎の空きスペースを有効活用し、夕方以降の売上を補う形でスタートした。ご飯に合うもつ煮を提供することで、夜の時間帯に新たな需要を掘り起こしている。後発ながら店舗数で業界トップに立ち、22年連続黒字を続けるゆで太郎の経営戦略の一端が、ここにある。



