相次ぐベトナム人技能実習生失踪の背景にブローカーの闇
ベトナム人技能実習生失踪の背景にブローカーの闇

日本国内で働くベトナム人技能実習生の失踪が後を絶たない。2023年には過去最多の約1万2000人が行方不明となり、その背景にはブローカーと呼ばれる仲介業者の存在が指摘されている。彼らは実習生に高額な手数料を課し、借金を背負わせた上で過酷な労働を強いるケースが多い。

失踪の実態と背景

技能実習制度は、開発途上国の若者が日本の技術を学び、母国の発展に貢献することを目的としている。しかし、実際には低賃金で長時間労働を強いられる例が少なくない。特にベトナム人実習生は、母国のブローカーに多額の借金をして来日するため、失踪して別の職場で働くケースが目立つ。彼らは不法就労となり、法的保護を受けにくい状況に置かれる。

ブローカーの役割と問題点

ブローカーは実習生の渡航手続きを代行するが、その手数料は数十万円から100万円を超えることもある。実習生はこの借金を返済するために、日本での生活費を切り詰め、時には違法な残業を強いられる。さらに、ブローカーが実習生のパスポートを預かるケースもあり、自由な移動を制限される。

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また、失踪した実習生は、ブローカーの紹介で別の企業に転職することが多い。これらの企業は、実習生の不法滞在を知りながら低賃金で雇い、利益を得ている。このような闇市場が拡大し、制度の悪用が深刻化している。

政府の対応と課題

政府は2024年から技能実習制度を「育成就労制度」に改める方針を打ち出した。新制度では、実習生の転職を一定の条件下で認め、労働環境の改善を図る。しかし、ブローカーの規制や実習生の権利保護に関しては、まだ十分な対策が取られていない。

専門家は、ブローカーの活動を取り締まるための国際的な協力が必要だと指摘する。ベトナム政府と連携し、違法な仲介業者を排除する仕組みが求められている。また、実習生に対する日本語教育や労働法に関する情報提供を強化し、彼らが自らの権利を理解できるようにすることも重要だ。

実習生の声

あるベトナム人実習生は、来日後にブローカーから「失踪すればもっと稼げる」と勧められたという。彼は「最初の仕事場は給料が低く、生活が苦しかった。ブローカーの言う通りにすれば借金を早く返せると言われた」と語る。しかし、失踪後は不法滞在となり、医療や社会保障の恩恵を受けられないリスクがある。

このような状況を受け、NPO法人などが実習生への相談窓口を設置している。しかし、言語の壁やブローカーへの恐怖から、相談に踏み切れない実習生も多い。

技能実習制度の根本的な改革が急務である。失踪を防ぐためには、労働環境の改善だけでなく、ブローカーによる搾取を断ち切る法的枠組みの整備が不可欠だ。日本社会全体で、外国人労働者の権利を守る意識を高める必要がある。

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