高級百貨店「タカシマヤ」の米国法人「タカシマヤ・ニューヨーク」は16日、ニューヨーク・マンハッタンにある旗艦店を2027年までに閉鎖すると発表した。同店は1988年の開業以来、日本食や雑貨を中心に現地の富裕層や日本人駐在員らに親しまれてきたが、近年の賃料高騰で採算が悪化。経営判断として閉鎖を決めた。
マンハッタンの一等地、賃料が10年で倍に
閉鎖対象となるのは、マンハッタン5番街にほど近い高級住宅街アッパー・イースト・サイドの店舗。延べ床面積は約4000平方メートルで、地下1階から地上3階までに食品売り場やレストラン、衣料品・雑貨などを展開してきた。米タカシマヤによると、このエリアの商業用不動産賃料は過去10年間で約2倍に高騰。現在の賃料は年間約20億円(約1500万ドル)に上り、売上高の約30%を占めるまでになったという。
同社は「立地に見合った収益を上げることが困難になった」と説明。閉鎖に伴う特別損失は約50億円を見込む。従業員約120人は全員解雇される見通しで、同社は「可能な限り再就職支援を行う」としている。
日本食人気で健闘も、コロナ禍で直撃
同店は開業以来、高級スーパー「フードホール」や和食レストラン「タカシマヤ・ダイニング」が人気を集め、現地の日本人だけでなく、ニューヨーカーや観光客にも広く認知されてきた。特にフードホールでは、日本から直輸入した弁当や総菜、スイーツなどが評判で、売上高はコロナ禍前の2019年には約80億円に達していた。
しかし、2020年からの新型コロナウイルス禍で売上高が一時半減。その後、観光客の回復などで業績は持ち直しつつあったが、賃料上昇が重くのしかかった。米タカシマヤの担当者は「日本食への関心は依然高いが、この立地で事業を続けるのは難しい」と述べている。
日本企業のNY撤退相次ぐ
ニューヨークでは近年、日本企業の小売店撤退が相次いでいる。2023年には家電量販店のビックカメラがマンハッタンの店舗を閉鎖。2024年には書店の紀伊國屋書店が旗艦店の縮小を余儀なくされた。いずれも賃料高騰とオンライン販売へのシフトが背景にある。
タカシマヤは今後、米国事業の縮小を検討。ニューヨーク以外の店舗(ロサンゼルスなど)については「現時点では閉鎖予定はない」としているが、採算が合わなければ追加の閉鎖もあり得るとの見方もある。
地元からは惜しむ声
閉鎖発表を受け、常連客からは惜しむ声が上がっている。アッパー・イースト・サイドに住む主婦のサラ・ジョンソンさん(42)は「ここで買う日本食材はどれも高品質で、週に2回は通っていた。閉鎖は本当に残念」と話す。日本人駐在員の男性(45)は「日本にいる感覚で買い物ができる貴重な場所だった。代替となる店はない」と嘆いた。
閉鎖までの約2年間、同店は在庫処分セールなどを実施する予定で、最終営業日は2027年6月末を予定している。



