ディスカウントストア大手のトライアルカンパニーが展開する都市型小型店舗「TRIAL GO」が、首都圏を中心に急拡大している。顔認証決済やリモート年齢確認を導入した無人化オペレーションで24時間営業を実現し、コンビニエンスストアとスーパーマーケットの隙間を狙う。しかし、同じ都市型小型店舗の王者である「まいばすけっと」の牙城を崩すのは容易ではないと見られている。
TRIAL GOの実力:無人化技術で省人化
ビジネスジャーナリストの相馬留美氏が実際にTRIAL GOを訪れたところ、日中は2人の店員が品出しを行っていた。トライアルは「30人時(1日トータル30時間分の労働力)で運営できるローコストオペレーション」を掲げており、夜間・早朝帯はさらに省人化されていると推測される。実際、決済時に店員がチェックする様子はなかったという。
この省人化を支えるのは、トライアルの技術力だ。顔認証決済やリモート年齢確認、棚モニタリングシステムによる遠隔店舗管理を導入しているが、買い物体験はスムーズで、テクノロジーを意識させることはない。相馬氏は「意識させないこと自体が技術力の高さをうかがわせる」と評価する。一方で「特筆すべきことがない店」とも指摘。使いづらさはないが意外性もなく、まいばすけっとほどの「スーパーマーケット感」はないという。
都市型小型店舗の特徴とまいばすけっとの強み
都市型小型店舗は、店舗面積が約60坪とコンビニ並みでありながら、スーパーマーケットの機能を持つ。一般的な食品スーパーはバックヤードや荷さばきスペースが必要で、住宅地では出店場所が限られるが、小型店舗は採算面・物件条件の両面で出店しにくい住宅地や駅近立地にも入り込みやすい。また、徒歩客をターゲットにするため駐車場が不要で、立地の選択肢はコンビニを上回る。在庫スペースも小さく、周辺店舗からの配送や自社物流網を活用して品切れを防ぐ。
まいばすけっと(運営はイオン系のまいばすけっと)は、この業態で圧倒的な存在感を示している。店舗数は首都圏を中心に1000店舗を超え、商品構成や価格設定、品揃えで顧客の信頼を獲得。特に「みなさまのお墨付き」などのプライベートブランドを活用した価格競争力が強みだ。
TRIAL GOの課題:価格と品揃え
TRIAL GOはディスカウントストアらしく、段ボールを積んだだけの陳列も見られるが、価格は「お値打ちな物は多くはない」と相馬氏は指摘。駅前の立地が多いため、価格勝負に過度に頼っていないようだ。ただし、西友のPB「みなさまのお墨付き」の商品も並んでおり、価格競争力はこちらで確保する可能性がある。
一方、まいばすけっとの品揃えは生鮮食品から日配品、加工食品まで幅広く、スーパーマーケットとしての完成度が高い。TRIAL GOは生鮮品の扱いが限定的で、スーパーとしての機能はやや劣るとの声もある。
今後の展望:共存か競争か
TRIAL GOの急拡大は、まいばすけっとにとって脅威となる可能性があるが、両者の差は明確だ。まいばすけっとのブランド力と店舗網、商品力に対し、TRIAL GOは無人化技術によるコスト競争力で勝負する。特に夜間・早朝帯の需要を取り込むことで、コンビニとの差別化を図る。
しかし、都市型小型店舗市場はすでにまいばすけっとの独壇場であり、新規参入者が簡単にシェアを奪うのは難しい。TRIAL GOがどこまで店舗数を増やし、顧客の支持を得られるかが焦点となる。相馬氏は「まいばすけっとの牙城は崩れそうにない」と結論づけている。



