トヨタ自動車が2024年上半期(1~6月)の世界新車販売台数で、約520万台を達成し、独フォルクスワーゲン(VW)グループを逆転して世界首位に返り咲いた。この数字には、ダイハツ工業や日野自動車を含むグループ全体の販売台数が含まれている。前年同期比で約5%の増加を示し、トヨタは新型車の投入やハイブリッド車(HV)の好調な販売が寄与した。
VWグループとの差は約50万台
VWグループの上半期販売台数は約470万台で、トヨタとの差は約50万台に開いた。VWは中国市場での販売低迷が響き、前年同期比で約2%減少した。特に中国では、地元メーカーによるEV攻勢が激化しており、VWのシェアは低下傾向にある。一方、トヨタは北米や日本、欧州で堅調な販売を維持し、特に北米ではHVの需要が高まっている。
中国市場の課題はEVシフト
しかし、トヨタにとっても中国市場は課題が多い。中国ではEV(電気自動車)やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及が急速に進んでおり、トヨタの戦略は遅れ気味だ。トヨタは中国でEVの新モデルを投入しているが、販売台数はまだ限定的で、地元メーカーの比亜迪(BYD)などに大きく水をあけられている。業界アナリストは「トヨタは中国市場でのEVシフトにどう対応するかが、長期的な首位維持の鍵を握る」と指摘する。
収益性も改善、HV戦略が奏功
販売台数だけでなく、トヨタの収益性も改善している。2024年度第1四半期(4~6月)の営業利益は約1.3兆円と、過去最高を更新した。この背景には、HVの販売比率が高いことがある。HVはEVに比べて利益率が高く、トヨタの収益源として重要な役割を果たしている。トヨタの豊田章男会長は「HVは現実的な脱炭素ソリューションだ」と述べ、HV戦略の継続を強調している。
今後の見通しとリスク要因
トヨタは2024年通期の世界販売目標を約1100万台と設定している。ただし、為替変動や原材料価格の高騰、中国市場の不透明感など、リスク要因も多い。また、世界的なEVシフトの加速に伴い、各国の規制強化がトヨタの戦略に影響を与える可能性がある。トヨタはEVのラインアップ拡充を進めており、2026年までにEVの年間販売台数を150万台に引き上げる計画だ。
業界首位争いは激化へ
世界自動車市場では、トヨタとVWに加え、独メルセデス・ベンツや米テスラなども台数を伸ばしている。特にテスラはEV市場で圧倒的な存在感を示しており、販売台数ではトヨタに及ばないものの、時価総額ではトヨタを上回る。業界首位争いは、単なる台数競争から、電動化や自動運転技術の開発競争へとシフトしている。トヨタは「全方位戦略」を掲げ、HV、EV、燃料電池車(FCV)など多様なパワートレインを展開することで、変化する市場に対応しようとしている。



