トヨタ・センチュリー開発の舞台裏:専属ドライバーの声が生む超一流の心遣い
トヨタ・センチュリー開発の舞台裏:専属ドライバーの声

センチュリー開発に不可欠な「声」

トヨタの最高級車「センチュリー」は、1日わずか2台ほどしか生産されない。ほぼ手作業で組み上げられるため、他の車種よりも時間がかかるが、生産工程での柔軟性が高い。顧客からのフィードバックがあれば、製造中の車両にすぐに改善点を反映できるという。

しかし、改善には顧客からの的確な評価が必要だ。センチュリーの乗り心地や細部に対して、オーナーから反応がなければ、開発者はどこをどう改善すべきか見当がつかない。ノンフィクション作家の野地秩嘉氏が、プレジデント誌(2026年7月31日号)でその舞台裏を報じている。

開発者が富豪の気持ちになれない理由

通常の乗用車であれば、開発者自身がオーナードライバーの気持ちを理解できる。しかし、センチュリーのようなショーファーカーの場合、企業のサラリーマンである開発者は富豪やVIPのようなオーナードライバーに成り代わることはできない。生活環境が異なるため、富豪としての感想を述べることが難しく、仮に不都合を感じても「まあいいか」と問題にしない恐れがある。

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そこで重要になるのが、専属ドライバーの存在だ。彼らは毎日センチュリーを運転し、オーナーの反応を間近で見ている。その声こそが、開発の鍵を握る。

豊田章男の専属ドライバーと私用車提供

トヨタの豊田章男会長にも専属ドライバーがいる。野地氏によれば、豊田会長は私用のRAV4を専属ドライバーに提供し、日常的な使用感をフィードバックさせているという。この取り組みは、開発者が実際の使用環境を理解するための一環だ。

また、搬入車として使われるアルファードに対しても、専属ドライバーから「ダメダメ、裏に回って」といった細かな指示が出るなど、プロフェッショナルならではの心遣いが随所に見られる。

超一流のための心遣い

センチュリーは、単なる移動手段ではなく、オーナーのステータスシンボルであり、ビジネスの場でもある。そのため、ドライバーには高度なマナーと気配りが求められる。開発段階からドライバーの意見を取り入れることで、乗り心地だけでなく、オーナーが感じる「満足感」を追求している。

野地氏は「センチュリーは絶え間なく進化を続けている車だ」と評し、その進化を支えるのが、ドライバーと開発者の密な連携にあると指摘する。トヨタのものづくりの根底にある「現場の声を大切にする」姿勢が、最高級車にも息づいている。

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