サッポロホールディングス(HD)は、傘下のクラフトビール専門店「サッポロクラフト」を全5店舗閉鎖し、同事業から撤退することを明らかにした。これにより、同社はクラフトビールの直営店舗運営から完全に手を引くことになる。
閉鎖の対象店舗とスケジュール
閉鎖されるのは、東京・銀座、新宿、渋谷、大阪・梅田、福岡・天神の5店舗。2025年3月末までに順次閉店する予定だ。これらの店舗は2015年から2017年にかけてオープンし、クラフトビールの魅力を発信する拠点として位置づけられていた。
サッポロHD広報担当者は「外食事業の構造改革の一環。収益性の改善が見込めないと判断した」と説明。同社は2024年12月、米国子会社のサッポロUSAを米クラフトビール大手のストーン・ブリューイングに売却する方針も発表しており、国内外でクラフトビール関連事業の整理を進めている。
業績への影響と今後の戦略
今回の閉鎖に伴い、サッポロHDは2025年12月期連結決算で約10億円の特別損失を計上する見通し。同社の外食事業は、主力の「サッポロビール園」などが堅調に推移しているものの、クラフトビール専門店はコロナ禍以降、来客数の回復が遅れていた。
サッポロHDは2025年1月に公表した中期経営計画で、経営資源を「ビール・発泡酒」「ワイン・洋酒」「飲料」「海外」の4つのコア事業に集中させる方針を打ち出している。クラフトビール専門店からの撤退は、この方針に沿ったものだ。
業界の反応と今後の展望
クラフトビール市場は国内でも拡大傾向にあるが、専門店の運営には高いコストがかかる。サッポロHDの撤退は、ビール大手各社のクラフトビール戦略にも影響を与える可能性がある。一方で、同社は缶入りクラフトビールの販売は継続するとしており、製造・卸売り事業は維持する方針だ。
専門家からは「大手が直営店を運営するメリットは限定的だった。製造に特化し、販路を拡大する方が合理的」との声も聞かれる。サッポロHDの決断は、今後のビール業界のクラフトビール事業のあり方に一石を投じるものとなりそうだ。



