「怒り」は、人間にとって自らを守るための大切な感情の一つ。しかし、怒りにまかせて行動すれば、人間関係を壊し、人生を台無しにしかねない。特に、理性を司る前頭前野が未発達な子どもにとって、怒りのコントロールは至難の業だ。そこで、脳科学者であり医学博士、認知科学者でもある中野信子氏が、家庭で無理なく取り入れられる親子トレーニングを提案する。
怒りの正体とそのメカニズム
イライラや不快感といった感情は、脳のやや深部にある「大脳辺縁系」が担当する。この部分は好き嫌いや恐怖などの原始的な感情も司るため「哺乳類脳」とも呼ばれる。怒りは、不快な現状を変えるために瞬時に強い衝動を促す、自己防衛のための感情だ。しかし、場合によっては他者を傷つけることもある。
怒りは時間とともに自然に収まる性質を持ち、ピークは約6秒で過ぎるとされる。中野氏は「心の中で1、2、3……と6まで数えてみるのも有効」とアドバイスする。
抑え込むだけでは不十分
ただし、怒りを単に抑え込むだけでは不十分だ。理不尽なことに声を上げるべき時や危険な状況では、怒りを適切に表現することも重要である。トレーニングによって「怒りの抑え方」と「気持ちの伝え方」を身につけることが可能で、日常の親子の関わりの中で自然に習得できる。
本稿は『プレジデントFamily 2026春号』の一部を再編集したもの。中野信子氏は、脳科学の知見に基づいた具体的な親子トレーニング法を紹介している。



