「大阪のおかん」を焼き印したミルクパンが、大阪府内のベーカリー「クックハウス」で話題を集めている。帰省土産としても人気で、多い日には1日3000個、1種類で年間1億円を売り上げる。この商品を生んだのは、元エンジニアの3代目社長・多田俊介さん(46)。開発のきっかけは、妻がふと漏らした一言だった。
1億円売れた「おかんパン」の正体
「おかんパン」は、四角いミルクパンにミルククリームまたはチョコレートクリームを挟み、各3個入りのボックスで販売。パン1つ1つにおかんの顔の焼印が押され、箱にはヒョウ柄服にサンダル履きのおかんが商店街に佇むイラストが描かれている。
2023年に発売されると、午前中に売り切れる店が続出し、各店から本社に「もっと焼いてください」と電話が入るほどの人気となった。
3年連続の営業赤字からの逆転
クックハウスは1946年、大阪市生野区で創業した老舗ベーカリー。多田さんが3代目を継いだのは2020年7月で、コロナ禍の真っただ中だった。2020年から2022年まで3年続けて1億円超の営業赤字に陥り、経営は危機的状況にあった。
多田さんは各銀行を回って資金調達に奔走する一方、メインバンクの商工中金から「幸せデザインサーベイ」を提案され、従業員満足度の調査を実施。社員の幸福度が売上に相関するという考え方に基づき、従業員を幸せにすることを優先した。
妻の一言が生んだ「おかんパン」
開発のきっかけは、多田さんの妻が漏らした「大阪のおかん」という言葉だった。多田さんは「売れなくても、まあいっか」という軽い気持ちで、既存のミルクパンに焼印を押し、クリームを挟むだけの商品を企画。1日限定100箱の販売からスタートしたが、予想に反して飛ぶように売れ、2025年には1種類で年間1億円を売り上げるまでに成長した。
多田さんは「正直、まったく売れないと思っていた」と振り返るが、このヒットにより、老舗は窮地を脱しつつある。



