EVシフト加速で自動車部品大手が再編、日清紡ホールディングスがブレーキ事業を売却へ
EVシフト加速で日清紡がブレーキ事業売却へ

日清紡ホールディングス(HD)が、主力のブレーキ事業を米国の自動車部品大手に売却する方針を固めたことが、複数の関係者への取材で明らかになった。売却額は1000億円前後とみられ、早ければ年内にも正式発表される見通しだ。電気自動車(EV)シフトの加速で、従来の内燃機関車向け部品の需要が減少する中、経営資源を成長分野に集中させる狙いがある。

事業売却の背景と詳細

日清紡HDは、ブレーキ摩擦材で世界トップクラスのシェアを誇る。しかし、EVでは回生ブレーキの普及により、摩擦材の摩耗が少なくなるため、交換需要の減少が避けられない。同社は2023年度のブレーキ事業の売上高が約2000億円と全体の約4割を占めるが、将来の成長には限界があると判断した。

売却先は米国の自動車部品メーカーで、ブレーキシステムを手掛ける企業とみられる。日清紡HDは、売却で得た資金を電子材料や半導体関連事業に振り向け、EV向けの高機能部品やエネルギー関連分野での成長を目指す。また、ブレーキ事業の従業員は売却先に引き継がれる見通しで、雇用への影響は限定的としている。

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自動車部品業界の再編加速

今回の動きは、自動車業界の構造転換を象徴するものだ。世界的なEVシフトに伴い、エンジンやトランスミッションなど従来型部品の需要は縮小し、部品メーカーの間では事業再編や買収が活発化している。例えば、ドイツのコンチネンタルは2023年に内燃機関向け部品事業を分社化し、米国のボルグワーナーもEV向け事業への投資を強化するなど、業界全体で変革の波が広がっている。

日本でも、デンソーがEV向け熱管理システムに注力する一方、エンジン部品の生産を縮小するなど、各社が事業ポートフォリオの見直しを進めている。日清紡HDの決断は、こうした流れをさらに加速させる可能性がある。

今後の展望と課題

日清紡HDは、ブレーキ事業の売却後も、残る電子材料やメカトロニクス事業で収益を確保する計画だ。特に、電子材料ではEVのバッテリーや半導体向けの絶縁材料に強みを持ち、需要拡大を見込む。また、メカトロニクス事業では、産業用ロボットや工作機械向けの精密部品で成長を目指す。

一方で、売却が完了するまでには、各国の競争法当局の承認が必要となる。特に、米国や中国での審査が長期化する可能性も指摘されている。日清紡HDは「現時点で決定した事実はない」とコメントしているが、業界関係者の間では、年内の合意は確実視されている。

自動車の電動化は、部品メーカーのビジネスモデルを根本から変えつつある。日清紡HDの選択が、後発組の企業にとっての参考事例となるか、注目が集まる。

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