9期連続赤字の老舗駅弁会社、資さん出身の新社長が「かしわめし」の味を戻した深い理由
資さん出身の新社長、老舗駅弁会社の味を戻した理由

名物駅弁「かしわめし」で知られる老舗「東筑軒」に、今、変化が起きている。9期連続の赤字を抱える同社に、昨年、資さんうどん出身の山内裕太氏が社長に就任した。山内社長は就任から半年で、かしわめしの米の規格を元に戻し、本店をリニューアルするなどの施策を打ち出している。

「僕が知ってるかしわめしじゃない」

山内社長が最初に着手したのは、味の原点回帰だった。かしわめしの米の規格が変更されていたことに気づき、「これではお客様が求める味ではない」と判断。すぐに元の規格に戻した。その背景には、「お客様を中心に考える」という経営哲学がある。店のスタッフから「これに困っている、変えてほしい」と声が上がると、山内社長は「それを変えたら、お客様はどうなるの?」と問い返すという。

「お客様が喜ぶならコストや手間がかかってもすぐにやる」

山内社長は、お客様が喜ぶならコストや手間がかかってもすぐに実行し、自分たちの都合ならやらないという姿勢を貫く。「お客様を第一に考えれば、好循環が生まれるんです。また来てくれて、売り上げが上がって、利益は後からついてくる。現場の力に感謝して、お客様の要望に応える。資さんで創業者と一緒にやってきた、財産みたいなものなんです」と語る。

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立ち売りの現場から見える風景

折尾駅のホームで13年間、弁当を売り続ける小南英之さん(66)も、山内社長の改革を支える一人だ。小南さんにとって立ち売りは、子どもの頃から見てきた風景でもある。高校時代、部活の試合で博多へ向かうとき、ホームにはいつも立ち売りの姿があった。当時は「ちょっと恥ずかしいな」と思っていたが、今は胸を張り、声を出す。

「人との出会いと感謝、しかないですね」

小南さんは、印象に残っているお客さんの話をしてくれた。ある高校生がホームに置き忘れたというマクドナルドのハンバーガーを一緒に探した。結局見つからなかったが、その子は卒業後も、社会人になっても会いに来てくれるという。「人との出会いと感謝、しかないですね。立ち売りの仕事は、元気をあげているように見えて、お客さんの笑顔から、こっちが元気をもらってるんですよ」と笑顔を見せる。

山内社長の経営哲学が生み出す好循環

山内社長の改革は、現場の声を重視し、顧客満足を最優先にする。資さんうどん入社前は自動車営業を経験していた山内社長は、「またあなたから買うよ」と喜んでもらえることを商売の原点に、顧客の期待に応え続けてきた。その姿勢が、9期連続赤字の老舗駅弁会社に新たな風を吹き込んでいる。

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