主力以外は売れていても手放す決断で売上倍増…奈良の玩具メーカーの意外な戦術
主力以外は売れていても手放す決断で売上倍増…奈良の玩具メーカーの戦術

「主力以外は売れていても手放す」決断で売上倍増

奈良県吉野郡に本社を構える玩具メーカー・ヨシリツは、「主力以外は売れていても手放す」という大胆な決断で売上を倍増させた。同社の主力製品であるブロック玩具「LaQ」は、子どもから大人まで幅広い人気を集め、世界で愛されるブランドに成長している。しかし、その成功の背後には、長期目標を立てないという意外な戦術があった。

長期目標を立てない経営哲学

ヨシリツは、一般的な企業が掲げるような長期目標をあえて設定していない。経営管理部執行役員の河部勇さんは、「海外展開も、玩具アワードの受賞もこちらから営業しているわけではないんです。問い合わせをいただくことからスタートしています」と語る。この受動的な姿勢が、むしろ自然な成長を促しているという。

河部さんが2004年に入社した当時、社員数は約20名だったが、現在は64名、パートを含めると約150名に成長。新卒採用も増え、平均年齢は30代だ。福井県や徳島県など遠方から、「子どもの頃にLaQで遊んでいてファンだった」という若手社員が移住してまで入社を希望するケースもある。さらに、本社周辺には2〜3年に1棟のペースで新社屋が建設されている。

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地理的ハンディを逆手に取る営業戦略

ヨシリツの営業担当者は現在22名。東京エリアと本社エリアに11名ずつ在籍する。自然豊かな奈良・吉野郡という立地は一見不利に思えるが、営業担当者は自宅から営業先へ直接出向くことが多く、本社に顔を出すのは2週間に1回ほど。地理的なデメリットは大きくない。むしろ「奈良の山奥にこんな会社があったのか」と驚かれ、会社を覚えてもらうきっかけになっているという。

「LaQハカセ」がファンを育てる

LaQの成長を支えるもう一つの柱が、「LaQハカセ」の存在だ。現在9名のLaQハカセが、保育園や幼稚園、学童などを訪問し、週末には商業施設で体験イベントを開催している。初代LaQハカセ・レッドは2011年に誕生。現在「LaQハカセ・ブルー」として活動するイベント事業部の米屋有朗課長代理は、「子ども達が家で作った作品を持ってきて見せてくれるんです。『もっとよくするにはどこをどうしたらいいですか』とアドバイスを求められます」と話す。

LaQを通じて数学が得意になったという声も寄せられており、知育を前面に押し出していないにもかかわらず、教育的効果が認められている。

売上倍増の背景と今後の展望

主力製品に集中し、それ以外の商品は売れていても手放すという徹底した選択と集中が、売上倍増につながった。長期目標を設定しないことで、柔軟な経営判断が可能となり、結果的に持続可能な成長を実現している。ヨシリツは今後もLaQを中心に、ファンコミュニティを大切にしながら、世界展開を進めていく方針だ。

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