三菱UFJ銀行は、人口減少に伴う信者数の減少や後継者不足などに悩む神社仏閣を対象に、コンサルティングサービス「寺社Connect(コネクト)」を令和9年中に始める。民間企業への経営支援で培った知見を生かし、収益力の向上や業務効率化、資金調達などを後押しする。宗派の総本山が集まる京都で実績を積み、全国への展開を目指す。
不活動宗教法人は5286法人に
神社仏閣を取り巻く経営環境は厳しさを増している。文化庁によると、宗教活動を停止し、法人格だけ残る「不活動宗教法人」は7年末時点で5286法人に上り、前年から267法人増加した。過疎化や少子高齢化などを背景に、後継者の確保が難しくなっていることが一因とみられる。
宗教法人は、お布施など宗教活動に伴う収入が原則非課税となるなど、税制上の優遇を受けている。休眠状態となった「幽霊法人」が悪質なブローカーや犯罪組織に買収され、犯罪の隠れみのとして利用されるケースも指摘されており、法人の存続や適切な運営は社会的な課題となっている。
インバウンド対応やデジタル化を支援
三菱UFJ銀の西日本地域でトップを務める北村慎専務執行役員が産経新聞のインタビューに応じ、寺社コネクトを通じてインバウンド(訪日客)の取り込みやキャッシュレス決済の導入などを進める考えを示した。北村氏は「(神社仏閣の)収入を増やすだけでなく、収入を管理していく枠組みでもデジタル化が必要となる。訪日客への対応の観点からも導入を支援する必要がある」と述べた。
寺社コネクトでは、神社仏閣が保有する土地や建物、文化財などの未活用資産を生かし、新たな収益源をつくる取り組みも想定。建物の修繕などでまとまった資金が必要となる場合には、融資に加え、企業からの寄付や協賛金などを組み合わせた資金調達も支援する。
京都での実績を全国へ
三菱UFJ銀はこの取り組みに先行して7年、京都で寺社関係者と経営上の課題について意見交換する「寺社サミット」を開催した。個別の寺社への支援も進めており、一連の活動を新サービスとして本格化させる。当面は三菱UFJ銀京都支店で寺社などを担当する営業部門を軸に支援モデルの確立を目指す。
北村氏は「京都での取り組みは、全国の神社仏閣へのアプローチになり得る」と期待感を示した。



