モスフードサービスが展開する「玄米食堂あえん」は、同社の新たな成長の柱として注目を集めている。モスバーガーが好調な中、同社は「日常を支える一食」を提供する業態として、玄米食堂あえんを育成している。しかし、その展開は単純な拡大路線ではなく、出店と閉店を同時に進めることで、持続可能なビジネスモデルを模索している。
玄米食堂あえんの現状:4店舗から3店舗へ
玄米食堂あえんは、2015年にエキュート大宮店でスタート。その後、代々木上原店、川口駅前店と出店し、2026年3月には町田パリオ店が4店舗目としてオープンした。しかし、町田パリオ店の開業から約1カ月後の2026年5月6日、大宮店が営業を終了。モスフードサービスの公式サイトによると、2026年5月31日時点の店舗数は3店となっている。
この動きから、同社は「とにかく増やす」段階ではなく、どの立地で、どのような運営形態なら駅前の日常食として成立するのかを探っていることが読み取れる。現存する3店舗はいずれも駅前または駅近に立地しており、その戦略を裏付けている。
低投資・省人化モデルとしての位置づけ
モスフードサービスの決算説明資料では、玄米食堂あえんを「低投資・省人化モデルとして多店舗展開に向けた基盤育成」と表現している。多店舗展開を見据えていることは確かだが、完成されたモデルではなく、基盤を育てている段階であることが強調されている。
具体的な投資額や標準人員数、厨房オペレーションの詳細は公開されていない。そのため、町田パリオ店の現場で、注文導線、提供の手早さ、ホールと厨房の人員配置を観察することが重要だ。そこに、モスフードサービスが描く「再現できる型」の輪郭が見えるはずである。
「日常の一食」の需要を取りにいく業態
モスフードサービスは、モスバーガーとは異なる「日常の一食」の需要を取り込もうとしている。玄米食堂あえんは、玄米を中心とした定食を提供し、健康志向の消費者や、手軽に栄養バランスの良い食事を求める顧客をターゲットにしている。
店頭には弁当・総菜のテイクアウト窓口も設けられており、テイクアウト需要にも対応。駅前立地を生かし、通勤・通学客の朝食や昼食需要を取り込む狙いがある。
同社は、低投資・省人化モデルを確立することで、多店舗展開を加速させたい考えだ。しかし、そのためには、収益性の高い立地の選定や、効率的な運営ノウハウの蓄積が必要となる。今後の動向が注目される。



