2023年10月に開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)について、中小企業の75%がコスト増加を実感していることが、東京商工リサーチの調査で明らかになった。調査は2026年6月に実施され、全国の中小企業約1万社から回答を得た。
調査結果の概要
「インボイス制度の導入後、コストが増加した」と回答した企業は全体の75.2%に上った。具体的なコスト増の内訳としては、「システム改修・導入費用」が最も多く42.3%、次いで「事務処理の工数増加」が38.1%、「税理士等への委託費用」が19.6%となった。
業種別では、建設業が82.1%で最もコスト増を感じており、次いでサービス業(79.3%)、小売業(77.5%)となった。一方、製造業は72.1%とやや低めだった。
制度への評価と課題
制度の評価については、「どちらとも言えない」が43.2%で最も多く、「やや不満」が28.7%、「非常に不満」が15.3%で、不満派が合計44.0%を占めた。「満足」と回答した企業はわずか5.8%だった。
東京商工リサーチの担当者は「中小企業にとって、インボイス制度への対応は想定以上に負担となっている。特に、取引先から求められる適格請求書の発行や保存に伴う事務負荷が大きい」と指摘する。
また、制度の複雑さを理由に、適格請求書発行事業者への登録をためらう企業も多く、調査では「登録していない」企業が全体の18.3%存在した。その理由として「事務負担が増えるため」が54.6%、「取引先からの要求がないため」が28.3%だった。
今後の見通し
政府は2023年10月の制度開始後、3年間の経過措置を設けており、2026年10月からは適格請求書の保存が完全義務化される。これに伴い、未登録企業の対応が急務となる。
専門家は「中小企業の負担軽減のためには、システム導入補助金の拡充や、簡易な計算方法の導入など、さらなる支援策が必要」と述べている。



