LINEヤフーと米投資ファンドのベインキャピタルが組む連合は、グルメサイト「食べログ」や価格比較サイト「価格.com」を運営するカカクコムへの買収提案で、1株あたりの買い付け価格を3384円に引き上げた。この動きは、欧州投資ファンドEQTとの間で激化する買収合戦の最新局面であり、LINEヤフーの本気度を示している。
買収価格の変遷:2300円から3384円へ
事の発端は今年4月23日、EQTがカカクコムに非公開化を含む買収を提案したと報じられたことだ。5月12日、EQTは5月13日から7月2日までの期間でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表。カカクコムもこれに賛同し、株主に応募を推奨した。当初の買い付け価格は1株2300円だった。
しかし、5月7日にLINEヤフー・ベイン連合が法的拘束力のない提案で3000円を提示。これに対しEQTはTOB開始時に同額の3000円に引き上げた。するとLINEヤフー・ベイン連合は即座に3232円に対抗。さらに7月1日、LINEヤフーはデューデリジェンスを完了し、法的拘束力のある正式提案として3384円を提示した。大株主KDDIの協力を得られれば最大3500円に引き上げる条件も付けた。
カカクコムの態度変化とEQTの対応
当初EQT案を支持していたカカクコムは、LINEヤフーの正式提案を受けて7月2日にTOB応募推奨を撤回し、EQTに価格再引き上げを要請。EQTは同日、価格に言及せずTOB期間を7月16日まで延長したが、7月7日にはさらに7月22日まで再延長した。現時点でEQTの対抗策は明らかになっていない。
LINEヤフーの本音:日常利用サービスへのこだわり
LINEヤフーの元首脳は「カカクコムを本気で欲しい。カカクコムには『食べログ』がある。われわれは日常利用、つまり毎日使うサービスにこだわっている会社だから」と語る。この発言には、AI時代を見据えた戦略が透ける。LINEヤフーはすでに検索、ニュース、ショッピングなど日常生活に密着したサービスを展開しており、食べログの獲得はそのラインアップを強化する絶好の機会と見ている。
30年前の因縁と業界再編の行方
この買収合戦には30年前に遡る因縁もある。LINEヤフーとカカクコムはかつて価格比較サイト事業で競合関係にあったが、今回のM&Aで再び交差することになった。業界では、AIによるレコメンデーションやパーソナライズが重要性を増す中、食べログの持つ膨大なユーザーデータとレビュー情報が、LINEヤフーのAIサービス強化に不可欠とされている。
今後の焦点は、EQTが価格をさらに引き上げるかどうか、そしてカカクコムの経営陣がどの提案を支持するかだ。両陣営の攻防は、日本のテクノロジーM&A市場における象徴的な事例として注目を集めている。



