自民党の情報通信戦略調査会は16日の会合で、テレビ局など放送事業者の資本政策のあるべき姿について検討するよう総務省に要請した。国内では、経営指標として「自己資本利益率(ROE)8%」が上場企業の評価の目安となっているが、公共性の高い役割を担う放送事業者に対してもROE8%を求めることの是非を検討する。
放送事業者の特殊性とROE基準の課題
調査会の大岡敏孝事務局長は終了後、記者団に対し、「放送事業者は資本構成や事業内容に放送法で規制がかかっている」と指摘し、一般企業と同列に比較することに疑問を呈した。また、「(放送事業者は)経営の安定を補完するため、不動産やテクノロジー企業の株式を保有している。持続的経営に向け各社が判断するのが一番良い」と述べ、事業の多角化など経営の自主性の必要性を強調した。
総務省の今後の検討内容
総務省は今後、有識者会議などで、放送事業者への聞き取りなどを行い、規制緩和の是非なども含めて検討を進める見通しだ。また、人口減少が進む地方での放送インフラの維持や地方局の経営改善に向けた検討も行う。
ROE8%の意味と放送業界の現状
ROEは、株主から集めた資金で、どれだけ効率よく利益を生み出したかを示す指標で、国内では8%が「合格ライン」と見なされている。しかし、民放キー局5社の親会社はいずれも8%を下回る。これは放送インフラの維持・整備にコストがかかり、災害報道など利益にならない社会的な役割があるためだ。ROEが低いと投資家から評価されずに株価が下落し、「物言う株主」から圧力を受けやすくなるという課題がある。
通信インフラ整備や偽情報対策も要請
16日の会合では総務省に対し、光通信技術や海底ケーブルなどの通信インフラの整備や、インターネット上の偽・誤情報の拡散防止に向け、必要な予算措置や対策を検討することも要請した。



