岸田文雄首相は16日、物価高騰対策や持続的な賃上げを重点項目とする新たな経済対策の策定を関係閣僚に指示した。年内の取りまとめを目指し、必要に応じて補正予算案の編成も視野に入れる方針だ。
首相、対策の柱を明示
首相は首相官邸で開かれた経済対策に関する関係閣僚会議で、物価高の影響を受けている家計や企業への支援、賃上げの流れを強化するための環境整備、成長分野への投資促進の3点を柱とするよう求めた。具体的には、ガソリンや電気・ガス料金の補助金の継続、中小企業の賃上げを後押しする税制措置、半導体や蓄電池などの戦略分野への投資拡充が検討される。
首相は会議で「物価高を乗り越え、経済の好循環を実現するため、総合的な対策を迅速に取りまとめたい」と述べた。また、「賃上げが持続的に行われる環境を整えることが重要だ」と強調し、政府として積極的な支援策を打ち出す考えを示した。
補正予算編成も視野
今回の経済対策は、2023年度補正予算案の編成と連動して進められる可能性が高い。政府は対策の規模について、物価高対策や賃上げ支援に加え、将来の成長につながる投資も含め、数兆円規模になるとみられる。財源としては、税収の上振れ分や国債発行を検討する。
経済対策の策定に先立ち、政府は15日、消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率が8月に前年同月比2.8%となったと発表。食料品やエネルギー価格の高止まりが家計を圧迫している。また、2023年の春闘で賃上げ率が30年ぶりの高水準となったものの、中小企業への波及が課題となっている。
与党内からは「年内の対策取りまとめを急ぐべきだ」との声が上がる一方、財源確保の観点から「国債発行に頼りすぎるべきではない」との慎重論もある。首相は会議で「歳出改革を進め、メリハリのある予算編成を行う」と述べ、財政規律にも配慮する姿勢を示した。
専門家の見解
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「物価高対策は短期的に必要だが、中長期的には構造的な賃上げと成長投資が不可欠だ」と指摘。また、日本総合研究所の石川智久副所長は「補助金の継続は一時的な効果にとどまるため、企業の生産性向上を促す政策が重要だ」と述べている。
政府は今後、与党との調整を本格化させ、10月にも対策の骨格を決定する方針。首相は早期の取りまとめを指示しており、9月中にも具体案を示す可能性がある。



