日本の化粧品業界は研究開発力で世界トップ級にありながら、独自の広告規制により「効き目」を宣伝できず、国際競争で苦戦している。2026年5月、自民党の「J-Beauty産業研究会」が政府に提言を提出し、広告規制の見直しを求めた。背景には、韓国コスメの台頭など構造的な課題がある。
韓国コスメの勢いと日本の現状
2026年5月8日から10日まで幕張メッセで開催された韓国カルチャーの祭典「KCON JAPAN 2026」には、3日間で延べ約12万人が来場。韓国コスメ最大手・オリーブヤングのブースには、平日にもかかわらず、緑とピンクの買い物袋を持った女性たちが長蛇の列を作った。「わたしもチンチャ(韓国語で『本物の』)ぷるぷる肌になりたい」「このリップ、発色がかわいすぎる」といった声が飛び交い、韓国ブランドの存在感は高まり続けている。
成分は語れても、効能は語れない
日本の化粧品業界では、薬機法(旧薬事法)の厳格な解釈により、製品の効能効果を具体的に宣伝することが困難だ。「美白」「しわ改善」といった効能は医薬品にしか認められず、化粧品では「メラニンの生成を抑える」といった成分の働きは説明できても、肌への直接的な効果を謳うことはできない。この規制の非対称性が、海外ブランドとの競争でハンディキャップとなっている。
政府の動きと今後の展望
政府はJビューティーを成長産業に位置づけ、競争力強化に向けた議論が本格化。自民党の研究会は広告規制の見直しを柱とした提言をまとめ、具体的な規制緩和を求めている。業界関係者からは「研究開発に投資しても、その成果を消費者に伝えられないのでは意味がない」との声が上がる。日本の化粧品メーカーは高い技術力を持ちながら、マーケティング面で制約を強いられているのが実情だ。
研究開発力は世界トップ級
日本の化粧品業界は、基礎研究や成分開発で世界的に高い評価を受けている。例えば、資生堂や花王などの大手企業は、美白有効成分や抗老化成分の研究で多くの特許を取得。しかし、これらの成果を製品の宣伝に活かすことが難しく、消費者に伝わるのは「成分名」や「技術名」にとどまる。一方、韓国コスメは「ぷるぷる」「ツヤツヤ」といった感覚的な表現で若い女性の心をつかみ、SNSを中心に爆発的に普及している。
規制の非対称性が生む課題
日本の広告規制は、科学的根拠に基づく表現を重視する一方、海外では認められている効能表示が日本では禁止されるケースがある。この非対称性が、日本ブランドの国際競争力を弱めている。業界団体は「国際基準に合わせた規制緩和」を求め、政府も検討を始めた。規制が見直されれば、日本の化粧品メーカーは研究開発の成果を積極的にアピールでき、Jビューティー産業の成長が期待される。



