企業で働く弁護士が増え続けている。日本組織内弁護士協会が7月に公表した統計によると、企業の従業員や役員として働く弁護士は6月時点で3756人。全弁護士(4万8106人)の7.8%だった。25年前は66人だったが、今年6月には50倍超となった。
東京への偏在と女性の多さ
企業内弁護士の8割余りは東京の3弁護士会のいずれかに所属し、東京(1197人)、第一東京(989人)、第二東京(944人)の順に多い。この3会ではそれぞれの会の総数の1割を超える。一方で、岩手、秋田、鳥取、佐賀など、企業内弁護士が1人もいない弁護士会もある。
企業内弁護士は女性が多いことも特徴だ。6月時点では男性2219人に対し、女性が1537人で4割余りを占めた。弁護士全体では、女性は2割にとどまる。
企業側のニーズと支援策
企業別では、最も多く弁護士を抱えるのはLINEヤフー(73人)。三井物産(42人)、丸紅(35人)、アマゾンジャパン(33人)などとなっている。
2000年代に進んだ司法改革では法曹人口の増加とともに、弁護士が企業などに活動を広げる方向性が打ち出された。企業で働く際は所属弁護士会の「許可」が必要だったが、法改正で「届け出制」に緩和された。弁護士の人数自体が増えるなか、企業内弁護士も右肩上がりに増えている。
日本弁護士連合会も、企業への就職などに関する弁護士向けのセミナーのほか、企業内弁護士のキャリア形成や所属先の弁護士会とのコミュニケーションの支援などを手がけている。
日弁連インハウスキャリアサポートセンター長の吉岡毅(たけし)弁護士は「企業における法的課題の増加・多様化に伴い、その対応を外部の弁護士に頼むだけでなく、社内事情に精通した自社の弁護士に処理してもらうという選択肢も広がっているようだ」と話す。
海外取引とスタートアップでの活躍
海外取引の交渉の場面で、外国企業では法務担当者のほとんどが弁護士であることから、日本企業側として法的課題に関する対応能力の信頼性を示すため、企業内弁護士が欲しいというニーズも根強い。また、近年では革新的なビジネスに取り組むスタートアップ企業で活躍する弁護士も増えているという。



