インパクト加重会計(IWA)を活用した投資戦略が、実際の投資パフォーマンスにどのような影響を与えるのか。日本株式とグローバル株式の2つの事例に基づく検証で、IWAが投資戦略として有効である可能性が示された。この分析は、Richmond Global Sciences(RGS)が提供するインパクト加重会計データを用い、野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング(NFRC)が実施した。
日本株式におけるIWA戦略の効果
日本企業を対象としたシミュレーション分析では、2016年7月から2025年12月までの期間において、浮動株調整後時価総額上位500社を投資対象とした。その結果、IWAスコアに基づいて選別したポートフォリオは、従来の時価総額加重型の投資手法と比較して、高いリスク調整後リターンを達成した。具体的には、IWA上位銘柄で構成したポートフォリオのシャープレシオは0.85と、市場全体の0.72を上回った。
また、外部性評価(企業が社会や環境に与えるプラスの影響を金銭価値に換算した指標)において、富士通は世界3位、日本勢でトップとなった。富士通の外部性評価は、特に環境分野での貢献が高く評価された結果だ。
グローバル株式でも有効性確認
グローバル株式市場でも同様の分析が行われ、IWA戦略の有効性が確認された。2016年7月から2025年12月までの期間で、世界の主要企業を対象としたシミュレーションでは、IWAスコア上位銘柄のポートフォリオが、MSCIワールド指数を年間約1.2%上回るリターンを記録した。
「この結果は、企業の社会的価値を財務指標と統合することで、投資家により良い意思決定をもたらす可能性を示している」と、RGSジャパン・アドバイザーの雨宮寛氏はコメントしている。
インパクト評価の枠組み整備が加速
金融庁や日本経済団体連合会(経団連)も、インパクト評価の指標・データのあり方の整備を進めており、開示の枠組みづくりが本格化している。これにより、企業の社会的価値を可視化する取り組みがさらに加速すると期待される。
インパクト加重会計は、企業の社会的価値を「利益」と同じように計算できるかを問う試みの一つとして、導入が進んでいる。従来のESG評価がリスク管理に主眼を置くのに対し、IWAは企業が社会や環境に与えるプラスの影響を直接測定し、価値として可視化する点が特徴だ。
今回の分析結果は、IWAが投資戦略として有効であることを示唆しており、今後のインパクト投資の拡大につながる可能性がある。特に、日本企業においては、富士通のような外部性評価の高い企業への投資が、リターン向上に寄与することが示された。



