「築地銀だこ」で知られる企業が、新たな成長の柱として「東京油組総本店」の展開を加速させている。同社は、自社開発のたこ焼き業態で培ったノウハウを活かしつつ、既に市場で支持を得ていた油そばブランドをフランチャイズ(FC)・マスターフランチャイズとして取り込み、ポートフォリオを多様化している。
油そば専門店の急成長とその背景
東京油組総本店は、油そば専門店として並盛・大盛・W盛が全て880円、辛味噌油そばは980円という統一価格を採用。シンプルなメニュー構成が特徴だ。同社の有価証券報告書によれば、築地銀だこは商品を単品に絞ることで厨房を縮小し、小スペース・低コストでの出店を可能にしている。このシンプルなオペレーションは、多店舗化に向けた短期間での人材育成を実現しており、東京油組総本店でも同様の戦略が活かされている。
しかし、自社で商品を発明した築地銀だこと異なり、東京油組総本店では別の強みが発揮されている。すでに支持されていた油そばブランドを見極め、自社グループの出店網と運営力で拡大している点だ。例えば、相模原中央店では「築地銀だこ、東京油組総本店の併設型店舗」としてオープン。既存の築地銀だこ店舗をリニューアルし、同じ場所に併設する形での出店例もある。
自前ブランドに依存しない経営への転換
かつては築地銀だこを軸に自社の単品業態を磨き、多店舗化してきた同社だが、現在はその延長線上にありながら別の力を示している。伸ばせる業態を見極め、FC・マスターフランチャイズという形で自社のポートフォリオに組み込む力である。同社は静かに、自前で作ったブランドだけに頼らない経営へと軸足を広げている。
この戦略は、外食産業におけるリスク分散と成長の両立を図るものだ。築地銀だこという強力なブランドを持ちながらも、新たな収益源を確保することで、市場変動への耐性を高めている。今後の焦点は、次に主食の柱となる業態をどう見極め、どう磨いていくかにかかっている。



