国産キウイフルーツの生産現場で、常識を覆す挑戦が進んでいる。元香川県職員で農業法人「Orchard&Technology株式会社」の代表を務める末澤克彦氏は、革新的な栽培術とAIアプリを組み合わせ、農業では難しいとされる高い収益性を実現。時給換算で6000円という驚異的な数字を叩き出し、目標は「キーエンス超え」と語る。
国産キウイの現状と空白市場
国内のキウイ消費量は年間約12万トンに達する一方、国産生産量は最盛期の約3分の1にまで減少している。この空白市場に外資系企業が狙いを定めているが、末澤氏は「オールジャパン構想」で対抗。高単価な「さぬきゴールド」や「さぬきキウイっこ」などのオリジナル品種を軸に、生産拡大を急ピッチで進めている。
偶然から始まったキウイ人生
末澤氏がキウイと出会ったのは1981年。外食産業の食品営業をしていた彼は、大学の恩師に勧められ香川県庁に入庁。配属から数カ月後、果樹担当の上司が急逝し、キウイを見たこともないまま担当に抜擢された。翌1982年には日本で初めて種苗法が制定され、先輩が育成した品種「香緑」の特性表作成に奔走。花びらの開く角度や葉のギザギザの数まで細かく定義する作業が、その後のキャリアの基礎となった。
AIアプリで「属人化」を打破
末澤氏が開発したAIアプリは、熟練農家の勘と技術を「見える化」し、誰でも高品質なキウイを栽培できるようにするものだ。これにより、栽培技術の属人化を防ぎ、生産性を大幅に向上。同氏は「1分で説明できない仕事はさせない」と徹底し、効率的な作業フローを確立した。
時給6000円のカラクリ
高い時給を実現した背景には、高単価品種の戦略的な販売と、農閑期をなくす「果樹コントラクター」構想がある。グループ全体で年間30~40トンのキウイを生産・販売し、数年後には100トンを見込む。さらに、50種類ものオーガニック柑橘を組み合わせ、通年での収入源を確保している。
次世代へ託す種まき
末澤氏は「2030年代に果樹農家は消滅する」と警鐘を鳴らし、後継者育成にも注力。国内外の企業への技術コンサルティングを通じて、日本農業の生存戦略を描く。その目標は、計測機器大手キーエンスを超えるような、高付加価値ビジネスの確立だ。



