EV販売不振で自動車部品大手が国内工場閉鎖、800人削減へ
EV販売不振で部品大手が工場閉鎖、800人削減

世界的な電気自動車(EV)販売の減速が、日本の自動車部品業界に深刻な影響を及ぼしている。大手部品メーカーのA社は、国内の主力工場を2025年末までに閉鎖し、約800人の従業員を削減する方針を明らかにした。これは、EVシフトの鈍化により需要が想定を下回ったことが主因とされる。

閉鎖の背景と影響

A社はこれまで、EV向けの駆動用モジュールやバッテリー関連部品の生産を拡大してきた。しかし、2024年に入り、主要顧客である自動車メーカーのEV販売が欧州や中国で伸び悩み、受注が急減。同社の2024年度のEV関連売上高は前年比30%減の500億円にとどまる見通しだ。

工場閉鎖の対象となるのは、静岡県にある富士工場。同工場は従業員約1200人を抱え、EV部品の生産拠点として2022年に稼働を開始したばかりだった。A社は、生産機能を他の拠点に集約し、内燃機関向け部品の生産にシフトする方針。削減対象の800人については、希望退職の募集や他工場への配置転換で対応するという。

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業界全体に広がる再編の波

この動きは、自動車部品業界全体の再編を加速させる可能性がある。業界団体の日本自動車部品工業会によると、2024年上半期の部品出荷額は前年同期比5%減の8兆円。特にEV関連部品は15%減と落ち込みが大きい。同工業会の田中会長は「EVシフトの速度見直しは、部品メーカーの事業計画に大きな影響を与えている。各社は生き残りをかけて、生産体制の見直しを迫られている」と指摘する。

実際、他の大手部品メーカーも同様の動きを見せている。B社は2024年7月、EV用モーター生産ラインの一部を休止。C社は中国工場の生産能力を20%削減する方針を発表した。これらの動きは、自動車メーカー各社がEV販売目標を下方修正していることを受けたものだ。トヨタ自動車は2026年のEV販売目標を150万台から100万台に、日産自動車も2030年のEV比率目標を50%から40%に引き下げている。

雇用と地域経済への打撃

工場閉鎖は、地域経済にも大きな打撃を与える。静岡県富士市の市長は「当市の製造業の雇用の約1割を占めるA社の工場閉鎖は、地域経済にとって深刻な問題。市としても雇用対策を支援していく」とコメント。富士市の製造品出荷額は約1兆2000億円で、A社の工場はその約4%を占めていた。

また、従業員の間では不安が広がっている。A社の労働組合の幹部は「会社からは希望退職の条件など詳細な説明がない。組合員の雇用を守るために、会社と真摯に交渉していく」と述べている。一方、A社の広報担当者は「今回の措置は、事業の持続可能性を確保するためのやむを得ない判断。影響を受ける従業員には最大限の支援を行う」と説明している。

今後の見通し

専門家は、EV販売の減速が一時的なものか、構造的なものかによって、業界の行方が変わるとみる。自動車アナリストの山田氏は「EV販売の減速は、充電インフラの未整備や価格高騰など、一時的な要因が多い。中長期的にはEVシフトは進むとみられるが、短期的には部品メーカーの再編が続くだろう」と分析する。

A社は、今回の工場閉鎖で2025年度に約100億円のコスト削減効果を見込む。しかし、業界全体としては、さらなる統廃合や事業撤退が相次ぐ可能性がある。日本政策投資銀行のレポートによれば、自動車部品業界の過剰生産能力は約2割に上り、今後3年間で大手10社のうち2〜3社が事業再編を迫られると予測されている。

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