教育費200万円で起業、返品率0.001%のふたごじてんしゃ 中原美智子氏の執念
教育費200万円で起業、返品率0.001%のふたごじてんしゃ

双子出産を機に開発した3輪自転車

株式会社ふたごじてんしゃ代表の中原美智子氏は、自身が2010年に双子を出産した経験から、子ども2人を乗せられる3輪自転車の開発に乗り出した。従来の前後に子どもを乗せる2輪自転車は、力の弱い女性ではバランスを取るのが難しく転倒しやすい。自動車は小回りが利かないなど、外出の手段がなく、一時は家に引きこもり精神的に追い詰められていたという。

「もっと気軽に子どもたちと一緒に外出したい」という一心で、全くの未経験から3輪自転車づくりに挑み、試作品完成までに3年を要した。完成した自転車を「ふたごじてんしゃ」と命名した。

教育費200万円を資本金に背水の陣

中原氏は自身のための1台だけで満足せず、同じように双子を育てる母親たちが気軽に外出できるようにと、起業を決意。資本金は子どもの教育費として貯めていた200万円のみだった。「もしうまくいかなかったら、子どものためのお金がすべてなくなる。背水の陣でした。でも、双子や年子を育てる人たちが無理なく移動できるようにすることは、私の使命だと思っていました」と語る。

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試作品の製作に協力したリヤカーメーカーは1台のみで撤退したが、自転車用品大手のOGK技研株式会社の当時専務(現社長)・木村泰治氏が中原氏の熱意に共感し、協力を申し出た。これにより本格的な共同開発が実現した。2016年、株式会社ふたごじてんしゃを設立した。

返品率0.001%、リコール時もクレーム皆無

ふたごじてんしゃの返品率は脅威の0.001%で、リコール時にもクレームが全くなかったという。中原氏は全国各地で試乗会を開催し、双子や年子の母親たちから「こんな自転車が欲しかった」と喜ばれ、確かな需要を実感した。しかし同時に、誰にでも販売していいわけではないと気づいた。

「ふたごじてんしゃは3輪で安定感がありますが、万能ではなくリスクもあります。車体は道路交通法の規則内ですが、通常の2輪自転車より広い駐輪スペースが必要です。構造上、坂道やデコボコ道は運転しにくく、スピードを出し過ぎると転倒しやすくなります。こうした特性を理解しないまま、一般的な2輪自転車と同じ感覚で使うのは危険です」と説明する。

購入希望者にはアセスメントを実施

そのため、購入希望者には事前にアセスメントを実施し、自転車の特性を理解してもらった上で販売している。この徹底した姿勢が、返品率の低さやクレームの少なさにつながっている。中原氏の執念と情熱が、多くの双子育児家庭の移動手段を変えつつある。

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