愛知県名古屋市に本社を置く大同メタル工業は、すべり軸受けで世界シェア1位を誇る。自動車の約4割、大型船舶の約7割に搭載される同部品は、エンジン内で回転軸を支え摩擦を低減する。これまでEVシフトで需要減少が懸念されたが、足元では造船市場の活況に加え、AIデータセンターの非常用発電機エンジン向け需要が急拡大。米キャタピラー社からの要請で愛知県犬山市の量産工場で大幅な増産投資を進め、北米での現地生産も水面下で計画している。
需要急増の背景
判治誠吾会長兼CEOは「中期経営計画で掲げた生産能力3割増では済まない」と語る。EV化の減速も追い風で、同社の中期計画では2030年にエンジン車が新車販売の60%を占めると修正。ルノー、メルセデス・ベンツ、BMWがエンジン車の開発・試作を増やし、ホンダもEV化を撤回してエンジンに回帰しているという。
増産投資と現地生産計画
同社はデータセンター向け中高速エンジン用すべり軸受けの引き合いが急拡大。犬山工場での増産に加え、ハイパースケーラーが巨大データセンターを建設する北米市場での現地生産も視野に入れる。判治会長は「増産はほとんど倍増ペース」と述べ、投資を加速させる方針だ。
株価と将来展望
「隠れAI銘柄」として注目された大同メタルの株価は、7月初めに一時1857円と1990年以来の高値を付けたが、足元では1200円台に反落。判治会長は「株価400円台のイメージを持っている人は売ってしまうが、当社の株価は2000~3000円になってもおかしくない」と強気の姿勢を見せている。



