「全東信なら審査に通る」歓楽街に広がったカード決済網が破綻、飲食店・ラウンジで連鎖倒産の恐れ
全東信破綻で飲食店連鎖倒産の恐れ、未入金53億円

クレジットカード決済代行会社「全東信」(大阪市中央区)が7月6日に破産手続きの開始決定を受けたことで、加盟店である飲食店や小売店に深刻な影響が広がっている。破産管財人によると、売上金の未入金は少なくとも約2万件、総額約53億円に上る。カード決済ができなくなった店舗が相次ぎ、「全東信ショック」による連鎖倒産の懸念が高まっている。

ミナミの居酒屋、100万円以上の未入金

大阪・ミナミの海鮮居酒屋では、入り口に「当面の間、現金での支払いをお願いします」と書かれた貼り紙を掲示。店主(60歳)によると、客の支払いの7~8割がカード決済で、6月中旬を最後に入金が確認できなくなり、100万円以上が未入金となっている。名物のハモ料理を目当てにした予約が多く入っていたが、別の決済代行サービスの導入は7月下旬になる見込みだ。店主は「かき入れ時にカードが使えないのは厳しい。全東信は個人の小さい店が使っていることが多く、人手もない中で対応するのは大変だ」と語る。

北新地や東京でもカード使えず

大阪・キタの繁華街「北新地」や東京都内でも、「クレジットカード使えません」などと書かれた紙を貼った飲食店が複数確認された。大阪・ミナミの飲食店が加盟する大阪南料飲観光協会(大阪市中央区)には、8日夕までに「売上金がなくなってしまう」などの相談が約20件寄せられた。同協会はホームページなどで「カード決済はしないでください」と緊急に案内し、全東信との契約書や入金履歴を準備するよう呼びかけている。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

全東信のビジネスモデルと破綻の経緯

一般的に、一定規模の店は大手カード会社と直接契約を結んでカード決済を導入する。一方、個人経営など信用力の低い店でも、全東信と契約すれば専用端末を利用してカード決済が可能になる。全東信は、カード会社からの支払いを立て替え、通常より高い手数料を設定して早期に店側に入金するサービスを提供していた。店側は早期に資金を確保できる利点があったが、カード会社は後日全東信に売上金を支払っていた。

全東信は1987年に飲食店経営者の相互扶助組織として創業し、1999年から全国展開に乗り出した。2018年には導入店が20万店を突破。特に歓楽街のラウンジや小規模飲食店に強く、業界内では「全東信なら審査に通る」との口コミが広がっていた。関西の地銀関係者は「飲食店に営業に行っても全東信が軒並み入っていた」と証言する。

しかし、帝国データバンクによると、コロナ禍の飲食業界低迷や多様なキャッシュレス決済の普及で業績が悪化。さらに加盟店契約で不正が発覚し、信用不安から資金調達に支障をきたした。最新の負債額は約1151億円に上る。

管財人「期限に弁済できない」

破産管財人は、全東信から未払いの売上金について「法律上、破産手続きにおける破産債権として扱われ、従前に約束した期限に弁済することはできない」と説明している。帝国データバンク大阪支社の内藤修・情報課長は「支払いには数年単位の期間がかかり、金額も極めて少ない可能性がある。全東信の破産が倒産の引き金になりかねない」と指摘している。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ