ココイチ非公開化検討、海外218店の成長に資本組み替えの意味
ココイチ非公開化検討、海外218店の成長に資本組み替えの意味

カレーハウスCoCo壱番屋を運営する壱番屋をめぐり、8月31日に親会社のハウス食品グループ本社が「非公開化を含むあらゆる選択肢の検討を行っている」と開示した。壱番屋株の51.01%を保有する親会社が、資本関係の見直しを検討していることを認めた形だ。報道当日、壱番屋株はストップ高となった。

過去最高売上高でも利益率は低下

壱番屋の業績は崩れていない。2026年2月期の連結売上高は前期比7.4%増の655億円で過去最高を更新。一方で営業利益は4.3%減の47億円、純利益は19.2%減と減少した。米や食用油、香辛料の値上がりが原価を押し上げ、人手不足が人件費を膨らませている。値上げで客単価を保ってきたが、ランチ代として支払える金額には上限があり、値上げを重ねれば客数減少のリスクも高まる。

国内の店舗網はすでに1,200店を超えており、店舗数増加による高い成長の継続は容易ではない。会社側が示した2027年2月期の予想でも、売上高726億円に対して営業利益は50億円。増収率10.8%に対し、利益の伸びは6.0%にとどまる見通しだ。

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海外218店舗の成長と親子上場の壁

成長の軸足は海外へ移るが、そこに親会社の事業観が壁になっていると、海外M&Aに携わってきた投資家の佐野Mykey義仁氏は指摘する。食品メーカーと外食業では利益の作り方も必要な人材も異なるという。

ハウス食品グループは2025年3月期からの第八次中期計画でROIC(投下資本利益率)6%以上を掲げており、先行投資による短期的な利益低下はグループの経営指標を押し下げる可能性がある。

ココイチの海外店舗は2026年2月末時点で218。連結子会社分が86店、現地パートナーによるFC店舗が132店で、進出先は10以上の国・地域に広がる。しかし、世界各地で数千店を展開する大手チェーンと比べると規模は小さく、FC展開では出店ペースが現地パートナーの投資判断に左右される。数千店規模を狙うには、セントラルキッチンや物流網、現地マネジメント層への先行投資が必要で、壱番屋単独での負担能力が論点となる。

非公開化で変わる投資の時間軸

佐野氏は、非公開化によって株主の顔ぶれが変われば、目先の減益を理由に投資を止める必要がなくなり、数年先の企業価値を見る時間軸で判断できるようになると見る。また、グローバル展開に慣れた企業やファンドが買い手になれば、現地の物件情報や調達ルート、フランチャイズ運営のノウハウを移植でき、立地確保や人材手配にかかる時間とコストを大幅に短縮できるという。

売り手にとっても、ハウス食品グループが51.01%分を現金化すれば、スパイスや機能性食品といった本業強化に資金を振り向けられる。買い手が回収を急ぎコスト削減へ舵を切れば、食材の質や店舗の人員が削られるリスクもある。鍵となるのは、売り手と買い手が同じ工程表を共有できるかどうかだ。

「ココイチ売却」という言葉は身売りの語感を伴いがちだが、実際には国内市場とメーカーの枠に収まらなくなった事業が、自前の資本政策を持つ段階へ進む話である。誰が次のパートナーになり、どの国を狙うのか。日本の国民食が世界の看板になれるかは、今後の設計次第だ。

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