アイ工務店は、夏場の建築現場における過酷な労働環境を改善するため、2026年6月から9月に着工する約3,000棟の全棟にエアコンを導入することを決定した。これは、厚生労働省が策定した「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)を契機とした取り組みであり、同社によれば業界初の試みとなる。
現場見学会で導入の狙いを説明
7月中旬には、東京都小金井市の戸建て住宅建築現場でメディア向けの見学会が開催され、導入の詳細が公開された。アイ工務店は47都道府県で年間8,500棟以上の戸建て住宅を受注しており、そのうち6~9月に施工する約3,000棟すべてを対象に冷房環境を整備する。
具体的な方法として、上棟後に屋根に断熱材を施工した段階で、窓枠に取り付け可能なエアコンを設置。ほぼ仕上げ工程に入る大工の作業が大詰めを迎える頃に取り外す計画だ。採用された機種はコロナ社製の「ウインドエアコン」で、防犯面を考慮して室内設置型を選択した。
職人の声:サウナ状態からの解放
見学会に参加した現場職人は、従来の環境について「上棟して窓サッシを取り付けると風通しが悪くなり、周辺が住宅街の場合は防音のため玄関や窓を閉め切るため、夏場はまるでサウナ状態になる。ファン付き作業服では対応できないレベルだった」と振り返る。
施工を請け負う工務店の代表者は「エアコンの効果は抜群で、非常に快適。夏の現場は時に命の危険を感じることもあったが、冷房が入ることで身体が動きやすくなり、暑さによる意識朦朧から起こる事故リスクも減少。1日の疲れ具合もまったく違う」と評価した。
エイジフレンドリーガイドラインが契機
アイ工務店取締役の斎藤隆輔氏は「労働者の安全に対する配慮は今後ますます重要になる。現場に入る大工や電気工事士など、職方さんの労働環境を改善すべく、この取り組みを始めた」と説明。同ガイドラインは現時点では努力義務だが、60歳以上の高齢労働者の健康状態に留意し、働く環境改善を求めている。
同社は今年度、8,900棟の引き渡しを目標に掲げており、斎藤氏は「職人さんの仕事環境を整えながら目標達成を目指す」と意気込みを語った。



