年収1500万円でも貯蓄ゼロ…58歳夫婦の家計を蝕んだ「13本の保険」の正体
年収1500万円でも貯蓄ゼロ…58歳夫婦の家計を蝕んだ13本の保険

世帯年収1500万円程度ありながら貯蓄がまったく増えない――。西日本在住の笠間平三さん(仮名・58歳・会社員)と妻・明子さん(仮名・58歳・パート)は、そんな悩みを抱えて家計再生コンサルタントの横山光昭氏のもとを訪れた。手取り月収は61万円(夫55万円、妻6万円)と高水準だが、毎月11万500円もの赤字を計上。月換算で16万5000円もの保険料を支払っており、年払いの保険の支払い期日が近づくたびに口座から必死にお金をかき集める切迫した状態だった。

「断るのも悪いかな」と気づけば13本

横山氏が家計を詳細に分析したところ、保険の多さが目を引いた。加入先の一覧はA4用紙数枚に及び、ほぼすべてが知り合いや親戚からの紹介によるものだった。友人から外貨建て保険、元上司からがん保険、妻の友人(保険外交員)から個人年金保険や終身保険、親戚から学資保険――。「断るのも悪いかなと思って、気づいたら13本になっていました」と平三さんは振り返る。

収入が高いためボーナスも含めれば保険料を支払えてしまい、なんとなく断れないまま契約を重ねてきた。横山氏によると、こうしたケースは特に知り合いが多く人間関係が濃厚な地域でたまに見られるという。義理の兄弟や親戚など身近な人からの誘いや頼まれごとが重なりやすい。押しに弱い性格に加え、不安を煽られ無駄に多数の保障に加入してしまう人もいる。収入が高いと払えてしまうからこそ、断り切れないという落とし穴もある。

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解約は加入よりはるかに難しい

横山氏はまず、各保険の保障内容と保険料を精査。不要な保険や重複している保障を特定し、解約を提案した。しかし、解約は加入よりもはるかに難しい。特に外貨建て保険や個人年金保険は解約返戻金が少なく、元本割れするケースもある。また、保険外交員や知人からの紹介で入った保険は、解約時に「言い負かされそう」になることもある。横山氏は「保険は必要最小限に絞ることが大切。加入時には『本当に必要か』を冷静に判断してほしい」とアドバイスする。

「あの13万5000円を投資に回していたら」

横山氏は1年半かけて粘り強く保険の見直しを進めた。結果、保険料を月16万5000円から約3万円に削減。毎月約13万5000円の支出削減に成功した。これにより、それまで毎月11万500円の赤字だった家計は、約7万円の黒字に転換した。平三さんは「あの13万5000円を投資に回していたら、老後資金もかなり違っていただろう」と悔やむ。

月約7万円の黒字転換、NISAで老後資金を

黒字化した家計で浮いた資金は、NISA(少額投資非課税制度)を活用した投資に回すよう横山氏は提案。老後資金の形成を目指す。横山氏は「保険はあくまでリスクへの備え。過剰な保障は家計を圧迫する。必要なのは、自分たちのライフプランに合った適切な保険選びと、余剰資金の有効活用だ」と締めくくった。

保険解約時に「言い負かされそう」な人へ

横山氏は、保険解約時に担当者に言い負かされそうな人向けに、以下のポイントを挙げている。まず、解約の理由を明確にすること。例えば「保険料が家計を圧迫している」「保障が重複している」など。次に、解約は自分の権利であり、遠慮する必要はないと自覚すること。最後に、必要なら専門家(FPなど)に同席を依頼することも有効だ。

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まとめ:保険は必要最小限に、余剰資金は投資へ

笠間家の事例は、高収入でも保険の過剰加入が家計を蝕む典型例だ。横山氏の指導により、保険料を大幅に削減し、黒字化に成功。浮いた資金をNISAで運用することで、老後資金の形成が期待できる。保険はあくまで備えであり、過信は禁物。自分たちのライフプランに合わせた適切な保険選びと、余剰資金の有効活用が、安定した老後への鍵となる。