2026年7月中旬、日本の株式市場が急落した。AIやロボット産業の将来が「バブルにすぎないのでは」との懸念が市場を動揺させたという見方もある。しかし、問題はそこにはない。むしろ大きな原因は、アメリカ国債の利率の上昇が株価に深刻な影響を与えていることだ。
公債の利率の上昇は、各国の公債が無限に増え続けていることへの不安の表れである。日本の公債も増え続けている。その背後にあるのが「現代貨幣理論(MMT)」という奇妙な理論だ。
似たような理論は繰り返し登場する
世の中には、同じ理論が衣を変えて何度か登場することがある。いつの時代も同じ問題を抱えているからだ。そうした理論は、過去を忘れ、まるで新しい理論であるかのように語られ、「今度こそ完璧だ」と豪語する。
しかし、時が過ぎれば一過性の熱病だったことが分かる。それでも窮地に陥ったとき、人々はわらをもつかむ思いでそうした理論にすがる。
政府は税金を上げることを嫌い、公債に頼りがちになる。カナダ出身でハーバード大学名誉教授の経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイス(1908~2006年)は次のように述べている。
ガルブレイスの指摘
「価格インフレに対しては、政府支出を減らし、税金を高くすることが必要である。こうした措置は政治的には非常に合意が得がたいのみならず、新しい型のインフレに対してなかなか効果を発揮しない」(『経済学の歴史』鈴木哲太郎訳、ダイヤモンド社、1988年、381ページ)
2019年に一時的に流行したMMTも、そうした理論の一つかもしれない。今でもこの理論にすがり、公債の過剰発行を繰り返し、「国家破綻はない」と主張する人々がいる。
そうした理論が一国の政策として採用されれば、その被害は計り知れない。しかし、それに気づいたときには、すでに手遅れになっている。



