6月12日、キオクシアホールディングスの時価総額が約44.3兆円に達し、トヨタ自動車を上回って国内上場企業の首位となった。この日の終値は前日比7.6%高の8万1200円だった。さらに同月16日には終値が9万4720円となり、時価総額は約51.7兆円に達した。日本企業の時価総額が50兆円を超えたのは、トヨタに次いで史上2社目だ。しかし、その約1カ月後には株価が半値まで下落する乱高下となる。
キオクシアが東証プライム市場に上場したのは2024年12月。上場初日の初値は1440円と公開価格(1455円)を下回り、華々しい出発ではなかった。ところがその後、株価は急激に上昇。今年6月16日の終値9万4720円は公開価格の約65倍に当たる。わずか1年半ほどで、企業に対する株式市場の評価がこれほど大きく変わったのである。
異例の上昇率の背景
この異常ともいえる上昇率は、キオクシアの業績改善だけを反映したものではない。AI(人工知能)関連株に資金が集中する市場環境、将来の供給不足を先取りした期待などのほか、株価上昇を見込んだ投機的な買いもあったと考えられる。
AIの開発や利用には、膨大な量のデータを保存し、高速で読み出す設備が必要になる。キオクシアの主力製品であるNAND型フラッシュメモリーや、それを用いたSSDは、データセンターを構成する重要な部品だ。
GPUを支えるNANDとSSD
キオクシアが製造しているのは、AIの計算を直接行うGPU(画像処理半導体)ではない。しかし、GPUが高速で計算するには、その前提として大量のデータを保存し、必要なときに迅速に供給する装置が必要だ。NANDやSSDはこうした役割を担っている。



