東京駅八重洲口前の再開発の一環として、大規模複合施設「トフロム八重洲タワー」が10日に開業した。ただ、東京駅に面した正面入り口の両脇には再開発に参加しなかった2棟のビルが残った。地上げに応じない「ど根性ビル」が八重洲の多様性を示す一方で、景観の不調和を批判する声も出そうだ。
再開発に参加しなかった2棟のビル
入り口に向かって左側には、チケット販売大手の大黒屋が所有する4階建ての「第2大黒ビル」が残った。1階が金券・チケット店、2階が質・買い取り店になっており、オレンジ色の「質」「高価買取」の看板が目立つ。右側には不動産会社社長らが所有する10階建ての「大久保ビル」があり、消費者金融などが入居している。
トフロムの建設が進むまでは「当ビルは再開発から完全に除外されました」と書かれた垂れ幕が壁面に掲げられていた。現在も銘板に「再開発除外物件」とあり、再開発参加への強い拒否感を感じさせる。このほかにも、外堀通り沿いの一部の区画が再開発区域外となった。
オーナーの理由と再開発組合の見解
再開発に参加しなかった理由について、大黒屋総務課は「弊社からのコメントは差し控えさせていただきたく存じます」とメールで回答した。大久保ビルのオーナーは電話取材に「代々受け継いできた不動産で、親から売るなと言われていたため」と、穏やかに話した。
再開発組合の担当者は「以前は残念だが致し方ないという気持ちだったが、今では完成して安心している。隣のビルとの関係は良好だ」と話した。
八重洲の多様性と新たなランドマーク
質店や消費者金融はかつての八重洲をイメージさせ、多様な街並みを示しているともいえる。トフロム自体も、昔ながらの八重洲の街並みに配慮して多くの店舗を道路側に配置している。一方、東京の玄関口の再開発として不完全な形となったことは否定できない。
この地区の区画は元々細分化され、雑居ビルや飲食店などが軒を連ねていた。再開発は平成27年に都市計画決定され、31年に東京建物などによる「東京駅前八重洲一丁目東B地区市街地再開発組合」が発足。土地などの権利者約250人分の合意を集めた。開業したトフロムは地上51階、地下4階建てで、東京駅と地下で直結している。オフィスや劇場、飲食店を集め、八重洲エリアを代表する新たなランドマークを目指している。再開発前にこの地で営業していた「割烹嶋村」なども入居した。



