線路をくぐる長い「おばけトンネル」を抜けると、そこはタワマンだった。川端康成『雪国』の冒頭のような光景が、東京都港区の高輪ゲートウェイ駅周辺で現実になっている。2026年3月にグランドオープンした大型複合施設「TAKANAWA GATEWAY CITY」と、地上44階・847戸の高級賃貸タワマンが、泉岳寺門前や高輪・芝浦の暮らしをどう変えるのか。再開発の内側と外側を見ていく。
「おばけトンネル」を抜けると景色が一変
高輪ゲートウェイ駅(東京都港区港南2丁目)にほど近いそのトンネルを抜けると、本当に景色が変わる。頭頂部を擦らないよう常に腰を屈め、首を傾けながら通り抜けると、目の前に超高層ビル群がそびえ立つ。
高輪ゲートウェイ駅は2020年3月14日、山手線で約49年ぶりとなる新駅として開業した。その後、2025年3月27日に「まちびらき」を迎え、翌2026年3月28日には、駅直結で延床面積約84万5000平方メートルを誇る大型複合施設「TAKANAWA GATEWAY CITY(以下、高輪ゲートウェイシティ)」がグランドオープンした。
乗降人員は約2万人から約6万人に急増
まちびらき前の高輪ゲートウェイ駅の1日平均乗降人員は約2万人だった。高輪ゲートウェイシティのグランドオープン後は約6万人と右肩上がりだ。JR東日本は、街の完成後には駅の乗降人数が1日約13万人程度になると見込んでいる。未来都市は、その巨大な器に見合う人の流れを、これから生み出そうとしている。
しかし、その一方で、高輪ゲートウェイシティでは「本は買えるが、大根は買えない」という声もある。再開発によって商店が消え、「人が住むだけの街」へと変わりつつあるという指摘だ。タワマンは2024年末時点で全国に1561棟あるといい、その土地の生活、景観、価値を大きく変えてしまう。縦に伸びるタワマンではなく、横に広がる街に注目し、「タワマンだけじゃない街」の姿をリポートする。



