「資産価値」という大義名分のもと、人々は都心マンションに吸い寄せられていく。元フジテレビアナウンサーで1級ファイナンシャル・プランニング技能士の西岡孝洋氏は、3億円超の物件に手付金5000万円が必要となるなど、異常な市場の実態を指摘する。
ポジショントークを超えた経験則
西岡氏は「マンションを買った人間が『買ったほうがいい』と言うと、人はそれをポジショントークだと疑う」と述べる。しかし、賃貸に住む人が「買ったほうがいい」と言えば信じるのか、あるいはマンション所有者が「賃貸のほうがいい」と言えば信じるのか、と問いかける。
彼は「レーシックは素晴らしいと語る眼鏡をかけた医師」を信じられなかった経験を引き合いに出し、自らが7戸の家を購入・住み替えてきた経験値こそが重要だと強調する。その経験に基づいて、現在の都心マンション市場を読み解く。
「資産価値」という言葉の魔力
この5年ほど、マンション購入希望者の口から最も多く出る言葉が「資産価値」だ。広さや駅近といった希望の最後に、必ず「資産価値が落ちない物件」という条件がつくという。
しかし西岡氏は、「値上がりしやすい」ことと「値下がりしにくい」ことは本来別物であるにもかかわらず、「資産価値」という一語が両者を都合よく混同させていると警告する。
都心マンションの残酷な現実
この言葉に急かされ、人々は都心へ向かう。確かに値上がり可能性が高いのは都心だが、問題は「その都心を本当に買えるのか」という点だ。西岡氏は、年収3000万円でも門前払いされる事例や、3億円超の物件に手付金5000万円が必要となる異常な状況を挙げ、都心マンション市場の厳しさを浮き彫りにする。
「都心」とは行政区の名前で決まるものではなく、実際の購入可能性を見極める必要があると同氏は指摘する。



