「おしゃれ田舎PJ」で小諸に30店超出店、元市職員の挑戦
「おしゃれ田舎PJ」で小諸に30店超出店、元市職員の挑戦

小諸市で空き店舗への新規出店や開業後の集客を支援する市民有志の「おしゃれ田舎プロジェクト(田舎PJ)」が、これまでに30店以上の出店を実現した。中心人物の高野慎吾さん(39)は市役所を退職し、2024年に不動産会社を設立。旧北国街道の宿場町として栄えた当時の面影が駅前に戻りつつある。

「まちに活気がないと文化や伝統を守れない」

松本市出身の高野さんは、松本城で働いていた母親の勧めで地方公務員を目指し、2010年に小諸市役所へ入庁。しかし、小諸駅前のシャッター街を目にし、「元気がないまちだ」と感じた。市内にはかつて百貨店などが並んでいたが、新幹線のルートから外れたことや、近隣自治体への大型商業施設の開業により、次第に衰退していた。

移住推進の部署を担当していた2019年ごろ、移住希望者から「まちがにぎわってないと、移住したいという気持ちになれない」と指摘されたことが転機となった。小諸城址を中心に古い建物や町並みが多く残ることに着目し、「空き家となった建物を利活用して開業できれば、移住者にも地元にもメリットがある」と考えた。地元ケーブルテレビ局のキャスターやリノベーション業者など民間の友人を巻き込み、同年に田舎PJをスタートさせた。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

空き店舗情報の収集から出店者募集まで

プロジェクトは「若い世代が出かけたくなる“まちなか”に生まれ変わる」ことを目的に、空き店舗の情報を集め、大家と調整して出店者を募る活動を展開。移住者が望む店舗の持ち主を探して紹介するほか、移住者向けのセミナーやフィールドワークも開催している。高野さんは「開業前に地元の人とつながることで、小諸の空気感に合う人を呼ぶことができる」と話す。

活動は当初、市役所での勤務後に行われていたが、取り組みが評価され、2年目からは業務として認められた。新型コロナウイルス禍での需要も追い風となり、市への移住・開業者は順調に増加。小諸駅周辺はにぎわいを取り戻しつつある。

不動産会社設立、今後は高校生の居場所づくり

田舎PJが軌道に乗る一方で、賃貸物件を多く取り扱う不動産会社が少なく、活動に制約を感じるように。「自分がやるしかない」と市役所を退職し、2024年に不動産会社を設立した。不動産の仲介を通じた地域づくりを天職にしようと決意した。

取り組みから約7年が経過し、シャッター通りだった駅前の相生町商店街にはカフェや花店などが出店し、1階の店舗はほぼ埋まった。2025年には中心市街地の公示地価が33年ぶりに上昇した。今後の目標は若者の地域への定着率アップで、田舎PJの第2弾として小諸義塾高校近くの蔵を改装し、高校生の居場所となる飲食店の開業を目指す。「なんでもない日常を重ねるなかで、ふるさとへの愛着を醸成してほしい」と話し、プロジェクトは今後も続く。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ