生きづらさ感じる若者へ、経験者の声届けるフリーペーパー「hanpo」草深将雄さん
生きづらさ感じる若者へ、経験者の声届ける「hanpo」草深将雄さん

不登校や家庭の事情、障害やセクシュアリティーなどについて悩み、生きづらさを感じている若者の思いや経験を発信するフリーペーパー「hanpo(はんぽ)」を2019年から発行する草深将雄さん(37)。これまでに16号を出しており、「暗闇の中で孤独を感じている若者に、同じ息苦しさを感じながら半歩先を行く経験者の声を届けたい」と願う。

いじめを機に学校へ行けなくなり、ネット交流で救われる

小学4年生でいじめにあって学校に行けなくなり、中学までフリースクールや中間教室に通った。「もう一度学校に行って、また行けなくなることが怖い。ここで消えた方がいいのでは」と思い詰めたこともある。「一人ではない」と思えたのは、SNSや掲示板などインターネットでの交流だった。同じように学校に行くことが苦しいと感じる友人たちとのやりとりに救われた。

大学卒業後にフリースクール設立へ、自身の経験を糧に

大学を卒業後は、静岡県内でフリースクールの設立に携わり、県内のアウトドアスクールのスタッフとして働いた。子どもと接する日々の中、「ずっと家にいた10代の時、自分が必要だったものを作り、かつての自分と同じ思いをしている県内の若者とつながりたい」と考え、フリーペーパーとオンラインコミュニティーを作った。

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フリーペーパーとオンラインで若者をつなぐ活動

フリーペーパーでは、「ともだち」「家族のかたち」「進む」「逃げる」などのテーマを決め、同じような悩みを抱えた若者らが、考えていることやモヤモヤした思いを文章や絵などで表現する。いまは年2回のペースで発行し、図書館や公民館、カフェなど県内各地で配布している。

また、冊子の製本を行う会を開いたり、作業をしてもしなくてもいい「仕事するふりする日」と称する催しを開いたりして、雑談をしながら日常の出来事や悩みを共有する。深刻な場合には、専門の相談窓口につなぐこともある。

オンラインコミュニティーの「部活」では、自作の短歌や最近読んだ本について投稿しあったり、リクエストに応じて楽器を演奏する動画を投稿したりして交流する。現在、オンラインのメンバーが約50人おり、約20人がイベントなどにも参加する。

「生きづらさを話せる場所」を増やしたい

「友達がたくさん出来た方がいい」「学校に行って働いて、自立して生きることがいい」とされる中、それができなくて、劣等感や苦しみを感じる若者がいる。「不登校やひきこもりは生きづらさゆえの、身を守るための状況。働けないことや、休職することもおかしいことではない。生きづらさを抱えることは当たり前にあり、それを話せる場所がたくさんあるといい」と考える。

「同じ思いを持つ若者たちをつなぎ、この地域で一緒に生きていきたいと思ってほしい」。当事者の発信を通じて、生きづらさを感じている人に対する行政や家族、周囲の理解が深まることを願っている。(田中文香)

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