電気自動車(EV)へのシフトが加速する中、日本の自動車産業において最大150万人の雇用が影響を受ける可能性があることが、東洋経済の試算で明らかになった。これは、内燃機関(エンジン)関連の部品製造やメンテナンスなど、従来の自動車産業の雇用構造が根本から変わることを示唆している。
EVシフトがもたらす雇用への影響
東洋経済の記事によると、EVの普及に伴い、エンジンやトランスミッション、排気系部品などの製造に従事する労働者の需要が減少する見通しだ。一方で、バッテリーやモーター、インバーターなど、EV固有の部品製造では新たな雇用が生まれるものの、全体として雇用の減少が避けられないと分析されている。
試算では、自動車産業の従業員約550万人のうち、最大で150万人が影響を受けるとされる。これは、部品メーカーや販売、整備など幅広い分野に及ぶ。
地域経済への波及効果にも懸念
自動車産業は日本の基幹産業であり、特に地方経済において重要な雇用を支えている。EVシフトによる雇用減少は、自動車部品メーカーが集積する地域に大きな打撃を与える可能性がある。例えば、愛知県や静岡県、群馬県などでは、自動車関連の雇用が地域経済の大きな割合を占めており、影響は深刻だ。
「自動車産業の雇用が減少すれば、関連するサービス業や小売業にも波及し、地域経済全体が縮小する恐れがある」と、記事は指摘している。
政府と企業の対応が急務
こうした事態に対応するため、政府は労働者の再教育や転職支援、新たな産業の育成などが求められる。また、自動車メーカーや部品メーカーは、事業構造の転換を加速し、EV関連の技術開発や人材育成に注力する必要がある。
「日本がEVシフトで競争力を維持するためには、産業全体の変革と人材の流動化が不可欠だ」と、専門家は指摘する。特に、中小の部品メーカーは資金や技術面で困難が予想され、支援策が急務となる。
世界の動きと日本の立ち位置
世界的には、欧州や中国を中心にEVシフトが急速に進んでおり、日本も遅れを取らないように対応が迫られている。トヨタ自動車などはハイブリッド車や水素燃料電池車も含めたマルチパスウェイ戦略を掲げるが、EVへの本格的な転換が遅れれば、国際競争力の低下につながる恐れがある。
「日本の自動車産業が今後も世界で存在感を維持するためには、EVシフトをチャンスと捉え、積極的に投資を行うことが重要だ」と、同記事は結論付けている。



