米軍基地からわずか20キロメートルの島を中国人が購入したことが明らかになり、水源地や農地、さらには神社仏閣に至るまで、外国人による土地取得への懸念が高まっている。「水源地に毒を入れられる」「神社を破壊される」といった根拠のない噂も流れるが、実際のデータを見ると、その実態は噂とは大きく異なる。
森林取得は私有林の0.07%、農地も微々たるもの
林野庁が毎年実施する「外国法人等による森林取得に関する調査」によれば、2006年から2024年までの19年間に、外国法人や外国人によって取得された森林は794カ所、面積にして1万396ヘクタールに上る。このうち、海外に住所がある外国法人や個人による取得は415カ所、3044ヘクタール。残りは国内の外国法人や在留外国人、あるいは外国法人や在留外国人の出資比率が過半を占める法人による取得である。
全国の私有林面積は1431万ヘクタールであり、外国人による取得割合はわずか0.07%にすぎない。ただし、2014年以降は取得が活発化しており、貴重な水源地を含む森林が含まれている可能性は否定できない。
農地については、農林水産省の調査によると、2024年に外国法人等が取得した農地面積は175ヘクタール。内訳は、海外に住所がある外国法人や海外居住の外国人による取得が3社で1.3ヘクタール、在留外国人による取得が377社で95ヘクタール、在留外国人が議決権の過半を出資する法人による取得が32社で79ヘクタールである。2022年は154.1ヘクタール、2023年は90.6ヘクタールと年により変動があるが、日本の農地面積427万ヘクタールと比較すれば微々たるものだ。
農地法の規制と宗教法人取得の実態
国内で農地を取得するには農地法の厳しい規制がある。農地を取得する場合、所有者は耕作することを前提とし、転用には厳しい制限が課される。法人が購入するには、農業従事者または農協が議決権の過半数を所有するか、役員の過半数が年間150日以上農業に従事している必要がある。売買には市区町村の農業委員会の許可も必要だ。
また、水源地を含む森林などの取引について、自治体が外国人や外資系法人に対して届出などの規制を条例で定めているのは20都道府県(2024年8月時点)に上るが、取得を禁止しているところはない。
噂とデータの落差
「水源地に毒を入れられる」「神社を破壊される」といった噂がSNSなどで拡散されているが、実際のデータはこうした恐怖を裏付けていない。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は、「外国人による土地取得の実態は、噂ほど深刻ではない。データに基づいた冷静な議論が必要だ」と指摘する。



