愛知県岡崎市は、かつて百貨店や大型商業施設がひしめく西三河地方最大級の商業都市だった。しかし、現在は全ての百貨店が消滅し、中心市街地の衰退が進んでいる。本記事では、なぜ岡崎から百貨店が消えたのかを分析する。
百貨店と大型店がひしめく激戦地
岡崎市の中心市街地・康生地区には、かつて松坂屋岡崎店(1971年開業、2010年閉店)、セルビ(1972年開業、2011年閉店)、名鉄サンリバー(のちの岡崎メルサ、1973年開業、2001年閉店)、シビコ(1976年開業)などが建ち並んでいた。東岡崎駅前には岡ビル百貨店(1958年開業、2021年閉店)やエコー百貨店(1963年頃開業)、ユニー東岡崎SC(1970年開業、2005年閉店)があり、郊外には西武岡崎店(2000年開業、2020年閉店)も存在した。
しかし、これらの百貨店は次々と閉店。松坂屋は2010年に、セルビは2011年に、西武は2020年に閉店し、最後まで残った岡ビル百貨店も2021年に閉店した。これにより、岡崎市から百貨店は完全に姿を消した。
全国第1号の再開発で街の重心が入れ替わった
岡崎市の中心市街地は、全国初の再開発事業として知られる康生地区再開発によって大きく変化した。1970年代に進められたこの再開発では、松坂屋やセルビなどが核テナントとして入居するビルが建設され、商業の中心が康生地区に移った。しかし、その後、郊外型の大型ショッピングセンターの台頭や消費者の嗜好変化により、中心市街地の商業は衰退。再開発から約40年で百貨店は全て消滅した。
「岡崎の人は百貨店よりスーパーが好き」という声もある。実際、岡崎市ではイオンやユニーなどのスーパーマーケットが強く、百貨店での高額消費よりも日常的な買い物を重視する傾向があった。また、名古屋へのアクセスが良いため、百貨店での買い物は名古屋に流出しやすかった。
そして百貨店は姿を消した
現在、康生地区の百貨店跡地はマンションなどに建て替えられ、往時の賑わいはない。東岡崎駅前の岡ビル百貨店跡も再開発が検討されているが、具体的な計画は進んでいない。郊外の西武岡崎店跡は「ジェイアール名古屋タカシマヤフードメゾン」として食料品売り場のみが営業しているが、百貨店としての機能は失われている。
岡崎市の百貨店消滅は、地方都市における商業の変化を象徴する事例と言える。百貨店が「特別な場所」だった時代は終わり、住民のニーズに合った商業施設が求められている。



