都心の高級マンション市場は、年収3000万円でも門前払いされるほどの異常な様相を呈している。元フジテレビアナウンサーで1級ファイナンシャル・プランニング技能士の西岡孝洋氏は、3億円超の物件に手付金5000万円が必要となる現実を指摘し、「資産価値」という大義名分のもとで人々が都心マンションに吸い寄せられていると警鐘を鳴らす。
ポジショントークの本質とは
マンションを保有しているという意味では確かにそうかもしれない。しかし、「家」に関して人がポジショントークをしようとしても、立てるポジションは2つしかない。家を持っているか、持っていないか。それだけだ。家について何かを語ろうとすれば、誰もが必ずどちらかのポジションに立っている。持ち家か、賃貸か。持っている人間の言葉が「ポジショントーク」として割り引かれるとするならば、持っていない人間しか発信してはいけないことになる。
眼鏡をかけた医師の教訓
西岡氏は、ポジショントークという言葉でいつも思い出す光景があると語る。2007年、視力向上のためにレーシック手術を受けたときのことだ。まだレーシックが一般的とは言えず、リスクのある手術をすると本気で心配された時代。手術を受けたクリニックで、事前に手術に適合するかをチェックする眼科医、カウンセリングをする眼科医、執刀医と3人の医師に会った。手術を控えた表情が不安そうに見えたのだろう、3人ともそれぞれのタイミングで「レーシックは安全で素晴らしい手術ですよ、安心してください」と言った。そして3人にはある共通点があった。全員、しっかり眼鏡をかけていたのである。
「あなたなら、この医師たちの言葉を信じることができるだろうか。3人目の医師である執刀医が眼鏡をかけていることを確認したとき、私は思わず笑ってしまい、心の中でこう突っ込んだ。『素晴らしいレーシック手術、自分たちはやらんのかい!』と」
都心マンションの残酷な現実
このエピソードは、都心マンション購入の勧めにも通じる。物件価格が高騰し、3億円超の物件に手付金5000万円が必要となる状況で、年収3000万円でもローン審査に通らないケースが増えている。西岡氏は、「賃貸に住んでいる人が『買ったほうがいい』と言えば信じる? ポジショントークを疑うなら、自分自身の立場を考えて情報を受け取るべきだ」と訴える。
都心マンションは資産価値が下がりにくいと言われるが、実際には金利上昇や市況変動のリスクがある。西岡氏は、持ち家か賃貸かの選択は、単なるポジショントークではなく、自身のライフプランに基づいて冷静に判断する必要があると結論づけている。



