柏崎刈羽再稼働の1000億円拠出金、電気料金補助で地元と曲折
柏崎刈羽再稼働の1000億円拠出金、電気料金補助で曲折

東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に伴い新潟県に拠出する1000億円の使途を巡り、電気料金補助への配分をめぐって地元から反発が出ていたことがわかった。県は当初、原発から5~30キロ圏の緊急時防護措置準備区域(UPZ)の家庭や事業所への電気料金補助に350億円を振り分ける方針だったが、柏崎市長の強い反対を受け、300億円に減額するなど対応に追われた。

電気料金補助をめぐる経緯

7月7日に開かれた県議会の総務文教委員会で、高橋直揮県議(自民)は「お金の使い方でもめたくない」と語気を強めた。焦点は1000億円の一部を用いた電気料金補助だった。県は6月中旬に一部報道で方針が明らかになると、柏崎市の桜井雅浩市長が「(拠出金を)個人の負担軽減に充てていいのか」と強硬に反対した。

反発を受け、県は電気料金補助に充てる方針は変えないものの、自治体への説明や電気料金補助を含む分野への配分を300億円に減額した。

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拠出金の背景と規模

拠出金は昨年10月、同原発6、7号機の再稼働に必要な「地元同意」を巡る議論のさなかに浮上した。県議会に出席した東電の小早川智明社長が1000億円規模の資金拠出を表明し、地元同意の流れを後押ししたとされる。

関西電力が福井県などへ表明した年間約50億円の資金拠出に比べると、本県の金額は年ベースで2倍に上る。2011年以降に再稼働した原発は新潟が1基、福井が7基であることを考えると、本県への拠出は巨額で、ある県幹部は「使い道でもめる事態は想定しなかった」と明かす。

不公平感の是正と制度見直しの難しさ

県が東電からの拠出金を電気料金の補助に充てようとした背景には、原発周辺の自治体間に生じている「不公平感」がある。原発の立地自治体や周辺の一部自治体は長年、国から多額のお金を受け取ってきた。いわゆる「電源三法」に基づく交付金制度だ。交付金のうち「電源立地地域対策交付金」は柏崎市と刈羽村、出雲崎町のほか、長岡市と上越市のそれぞれ一部で、家庭や事業所の電気料金補助に使われてきた。

しかし、11年の福島第一原発事故後、事故対策が求められる範囲が原発から30キロ圏内に拡大された。この結果、小千谷、十日町、見附、燕の4市は電気料金の補助対象外であるにもかかわらず、事故対策などを求められるようになった。こうした自治体は「メリットがないのに負担が増している」と不公平感を訴えてきた。

東電の拠出金を電気料金補助に充てることについて、県は「当面の対応」としている。「電源三法」に基づく交付金制度が見直されるまでの暫定措置と位置付ける。ただ、政府関係者によると制度を短期間で見直すことは難しいという。

交付金制度では、まず電力会社に電源開発促進税を課し、その税収が国の特別会計に入り、そこから全国に配分される。交付金を増やすには、電力会社が支払う税金の増額が必要だ。しかし、それは家庭や事業所の電気料金の引き上げにつながる。今でも電気料金の負担感は強く、資源エネルギー庁幹部は「電気料金の引き上げにつながる税制改正が、政治的に容認されるとは考えにくい」とみる。

他の電力会社では、原発再稼働により電気料金を引き下げる例もあり、東電だけが引き上げれば、電力供給エリアである首都圏から反発が出ることは必至だ。東電による資金拠出は今後10年続くが、この間に交付金制度の見直しはあるのか。県議会関係者は「国内のエネルギー事情や原発の果たす役割に応じて、交付金制度の行く末は決まるのではないか」と話す。

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