米国とイランの戦闘終結に向けた協議が合意に至ったと発表された。しかし、ナフサ問題はこれで収まるのか。早稲田大学理工学術院教授の松方正彦氏は「戦闘が終結したところで、既に高額で精製ナフサ・原油を輸入していることから、価格転嫁をせざるを得ない。皆さんがスーパーや薬局で目にする多くの製品に影響する可能性がある」と指摘する。ジャーナリストの湯浅大輝氏が聞いた。
ナフサは足りればいいわけではない
ナフサの量は足りている――。官邸はホルムズ危機に際して発生したナフサ問題について繰り返しこう表明している。ところが、カルビーの「ポテトチップス」の包装がカラーから白黒になったり、建築資材の入手困難でマンションの大規模修繕工事が遅れたりと、一般消費者にとっては不穏なニュースが相次いでいる。
認識の食い違いが表出した象徴的な場面があった。6月9日の記者会見で「ナフサの総量が足りていないと認めるべきでは」と質問した記者に対して、赤沢亮正経済産業大臣が「量が足りているのが事実。(事実と違うのにもかかわらず)『全体量が足りていない』と発信すると、今以上に買い占めが酷くなる」と真っ向から反論したのだ。
石油化学業界のサプライチェーンに詳しい松方正彦教授の見解
松方氏は「ナフサの量はある程度足りているのは事実」と指摘する。しかし、消費者にとって、足りていればいいというわけにはいかない。「戦闘が終結したところで、既に高額で精製ナフサ・原油を輸入していることから、価格転嫁もせざるを得ない。つまり、皆さんがスーパーや薬局で目にする多くの製品に影響する可能性があるということだ」と述べる。
いつまで庶民は物価高に苦しまねばならないのか――。
白黒になるのはお菓子だけではない
ナフサ不足は包装材や容器の色にも影響を与えている。カルビーのポテトチップスのように、白黒パッケージに切り替える企業が増えている。これは、カラーインクに含まれる石油由来成分のコスト上昇を避けるためだ。また、建築資材の不足により、マンションの大規模修繕工事が遅れるケースも報告されている。
値上がりと不足について予測は困難
松方氏は、今後の価格動向について「予測は困難」としながらも、「高額なナフサを輸入している限り、価格上昇圧力は続く」と警告する。精製ナフサの価格は高止まりしており、メーカーや商社は多額の資金を投入しているのが現実だ。
ナフサ由来製品の流通は複雑
ナフサは石油化学製品の基礎原料であり、プラスチック、合成繊維、洗剤、化粧品、医薬品など幅広い製品に使われている。そのため、ナフサ価格の上昇は、スーパーや薬局で販売される多くの製品に影響を及ぼす可能性がある。
85%まで回復=15%は足りていない
経済産業省はナフサの供給量が通常の85%まで回復したと発表しているが、松方氏は「15%足りていないということは、依然として供給不足の状態にある」と指摘する。また、「大金をはたいてナフサを買っている現実」があり、メーカーや商社は多額の資金を投入して調達を続けている。
いつまで価格上昇圧力が続くのか
松方氏は「戦闘終結後も、サプライチェーンの再構築には時間がかかる」と述べ、価格上昇圧力が長引く可能性を指摘する。消費者は、今後もスーパーや薬局で白黒パッケージの製品や価格上昇を目にすることになるだろう。
そりゃ容器が白くなったり値段も上がるわ…というのが、一般消費者の実感かもしれない。



