茨城県常陸大宮市議会は16日、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に関する国からの文献調査実施申し入れを巡り、16人の議員全員による意見表明を終え、内容を鈴木定幸市長に伝達した。秋山信夫議長が同日、発言の音声データを鈴木氏に手渡した。
複数の市議によると、態度を保留するなどした議員も多く、明示した議員の中では賛否が拮抗していたという。鈴木氏は発言内容を精査した上で受け入れの可否を最終判断する。
音声データ提出の理由
秋山氏は、音声データ提出という手法をとった理由について「文章に要約すると議員が言わんとした真意や熱量と差が生じる」と記者団に説明した。
鈴木氏は、18日までの予定の市議会定例会会期中に結論を出すとみられる。秋山氏によると、市長室でデータを渡した際、鈴木氏は「文献調査とは何かという点を含め、市民に対してより充実した丁寧な説明を行っていく必要がある」と述べたという。両氏は約30分間会談し、議会と市民への周知を徹底すべきだとの認識で一致した。
議員協議会での意見
8月31日の経済産業省からの申し入れ以降、市議会は非公開の議員協議会を3回開催し、9月9日と16日の協議会で各議員が意見を表明した。
16日の協議会では、深刻な人口減少を踏まえ「文献調査は机上のデータ確認であり、地質環境の適性を調べる議論の機会とすべきだ」といった意見が出た。一方で、「打診から半月余りでの判断は拙速で、市民への説明が著しく不足している」「農産品への風評被害や地域社会の分断に対する危惧が強い」などの慎重論も相次いだ。
ある議員は取材に対し「明確に『賛成』『反対』という言葉を使って意思表明をした議員はそれぞれ3人程度、4人程度という印象だった」と語った。他の議員は明言を避けたり賛否を保留したりしたという。
文献調査の概要
文献調査は処分場選定プロセスの1段階目で、資料から活断層の状況などを約2年かけて調べる。受け入れ自治体には最大20億円が交付される。実施されれば、北海道の寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村に続き5例目となる。



