星野リゾートが運営する「星のや富士」(山梨県南都留郡)は2026年10月1日から、一流の猟師に同行して狩猟の一連の流れを見学・体験する「狩猟体験ツアー」(1名111,000円)を開催する。このツアーは、富士北麓で深刻化するシカやイノシシによる農林業被害を背景に、命の大切さを伝える大人の食育プログラムとして2017年に開始。9年間で累計38組のゲストが参加し、10年目を迎える今年は新たに「自然を学ぶ森歩き」が加わった。
富士北麓の獣害問題とジビエ活用の現状
富士北麓では、増えすぎたシカやイノシシによる農林業被害(獣害)や、樹皮・植物の食害による生態系の破壊が深刻な課題となっている。山梨県内のシカによる農業被害額は年間約5,000万円(令和6年度)にのぼり、県は管理計画に基づき個体数調整を行っている。しかし、捕獲された個体のうちジビエとして活用されるのは約1割に留まり、多くが廃棄されているのが現状だ。星のや富士では、開業以来ジビエ料理の提供を継続し、地域課題に向き合ってきた。
ツアー内容:命の循環を体感
ツアーは2026年10月1日~2027年1月7日の全8回、2泊3日で開催。料金は1名111,000円(税・サービス料込、宿泊料別)、定員は1日1組(2~3名)。公式サイトより2週間前まで予約を受け付ける。内容は以下の通り。
狩猟体験:一流猟師に同行
富士北麓の森で、シカ・イノシシの生態を知り尽くし、上質なジビエ生産にも携わる地元の猟師が案内。仕留め方、放血、温度管理、解体といった技術や、一連の作業の素早さを間近で学ぶ。捕った獲物を極上のジビエに昇華させるこだわりを聞きながら、狩猟の流れを見学・体験する。
自然を学ぶ森歩き(新プログラム)
狩猟体験の前日、星のや富士の森を地元の林業家と共に歩く。林業家から富士の森の成り立ちや動物の棲み処について話を聞きながら、獣道や動物の痕跡を探索。なぜ豊かな森で狩猟が必要とされてきたのかを肌で感じる。散策後は、森の特等席で焚き火を囲み、翌日の狩猟体験への理解を深める。
ジビエディナー
狩猟体験後の夕食は、鹿肉を余すところなく使った「ジビエディナー」を屋外会場で提供。富士山麓周辺で獲れたジビエのコース料理。鹿は季節ごとに食べ物が異なり、肉の味わいも変化。特に秋はどんぐりや木の実を食べて脂を蓄え、1年で最も美味しい時期となる。食材として消費するまでの流れを体験し、命を無駄なくいただく大切さを学ぶ。
甲州印伝の漆付け体験
「甲州印伝」は、鹿革に漆で美しい文様をあしらった山梨の伝統工芸品。軽くて柔らかく丈夫な鹿革は、古くは武具に使われた。ツアーでは、日本で唯一甲州印伝の伝統工芸士の資格を持つ山本裕輔氏の指導のもと、星のや富士のキャビンで文様の漆付けを体験。オリジナルの文様型から選び、漆付けした鹿革は希望の小物に加工され、後日自宅に届く。食材以外の部分も資源として活用する方法を学ぶ。



