京都・金胎寺の弥勒菩薩坐像、100年ぶり修理完了 奈良博で特別公開
京都・金胎寺の弥勒菩薩坐像、100年ぶり修理完了 奈良博で公開

京都府和束町にある真言宗醍醐派・金胎寺の本尊・弥勒菩薩坐像(重要文化財)が約100年ぶりの修理を終え、奈良市の奈良国立博物館仏像館で特別公開されている。修理費は全額、博物館の来場者から寄せられた寄付金が充てられた。奈良博は「皆さまのおかげで修理がかなった仏像をぜひ見ていただきたい」としている。9月13日まで。

山岳霊場に伝わる鎌倉時代の名像

金胎寺は、奈良・吉野の大峯山にも並ぶ霊峰とされる鷲峰山の山頂近くに位置。役行者が開いたと伝わる古寺で、南山城地域の山岳信仰の拠点とされてきた。

弥勒菩薩坐像(像高約90センチ)は木造で、鎌倉時代初期の作。胸の張りや腹部の絞りといった体つき、硬い印象の衣文など、みずみずしい造形が特徴だ。寺に近い現光寺(京都府木津川市)などにも作風が似た像が見られ、興福寺(奈良市)で活躍した定慶の系統の仏師が手がけたとみられる。昭和40年代には、真言宗醍醐派の総本山である醍醐寺(京都市)が預かる形となり、約半世紀の間、ほぼ人の目に触れない状態が続いていたという。

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寄付金で実現した修理

奈良博は2023年に開催した特別展「聖地 南山城―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝―」での展示を目指したものの、激しい傷みにより運搬できずに出展を断念した。ただ、奈良にもゆかりある優品を、今後広く見てもらうことにつながればと、修理を行うことに。仏像館では以前から、文化財修理を目的として募金箱を設け、各作品を計画的に修理してきた。今回は修理費全額(約540万円)を寄付金でまかなった。

修理は25年度に美術院が担った。1933年の前回修理から100年近くが経過し、表面に漆を塗り、金箔を施す技法・漆箔の浮き上がりを合成樹脂を用いて抑える剥落止めのほか、過去の修理を経て変色した箇所を絵の具で整え、虫食い部分を補うなどし、本来の姿がよみがえった。

10年間の保管と展示活用

弥勒菩薩坐像は10年間、奈良博で保管し、展示に活用される。井上洋一館長は「奈良博や文化財を愛する方々の温かな気持ちで(仏像を)守り伝えるということが実現した。ご覧いただく機会ができてうれしく思う」と話している。月曜休館。観覧料金は一般700円、大学生350円など。問い合わせはハローダイヤル(050・5542・8600)。

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