資産形成のために投資を学ぼうとする人は多いが、脳科学の観点からは、投資本を読むよりも先に取り組むべきことがある。それが運動だ。運動は脳のパフォーマンスを高め、判断力や集中力の向上につながることが知られている。本記事では『最新科学が解き明かした お金と脳の残酷な真実』(菅原道仁/秀和システム新社)から、運動とお金の意外な関係を紹介する。
難解な投資本10時間より1時間の運動が年収を引き上げる
多くのビジネスパーソンは、「運動する時間があるなら働いたり投資の勉強をしたりした方が稼げる」と考えがちだ。しかし、世界のトップエリートや富裕層がこぞってジムに通い、早朝ランニングをするのには明確な理由がある。運動は単なる健康維持ではなく、ダイレクトに脳のパフォーマンスを上げ、結果的にお金を稼ぐ力を高めるからだ。
イリノイ大学などの研究によれば、有酸素運動は実行機能(計画、判断、自己制御などの高次認知機能)に特に好影響を与え、この効果は子どもから高齢者まで幅広い年齢層で確認されている。また、定期的に有酸素運動を行っている人は、加齢に伴う脳の体積減少が抑制される傾向があることも報告されている。
BDNFがもたらす脳のクリアな状態
そのメカニズムの一つとして注目されているのが、「BDNF(脳由来神経栄養因子)」というタンパク質だ。特に記憶と学習に関わる海馬でのBDNFの役割が注目されており、定期的な運動によって認知パフォーマンスの改善が確認されている。
「どんよりと濁った脳でどれだけ家計簿を見つめても、ノイズに振り回されて判断を誤るだけ」と著者は指摘する。運動によってBDNFを分泌させ、脳をクリアで強靭な状態に保ち続けることが、複雑な資本主義のゲームを勝ち抜くための最も確実でコストパフォーマンスの高い「自己投資」だと述べている。
脳のパフォーマンスを上げる運動の習慣化
具体的には、週に数回の有酸素運動を習慣にすることが推奨される。ジョギングや速歩きなど心拍数が上がる運動を30分程度行い、脳機能を高めるBDNFの分泌を促す。また、運動を「時間があったら」ではなく、仕事のパフォーマンスを支える必須の自己投資としてスケジュールに確保することが重要だ。
『最新科学が解き明かした お金と脳の残酷な真実』は、人気脳神経外科医である菅原道仁氏が、最新の脳科学の知見をもとに、私たちの脳がいかにお金の罠に陥るのかを解説する一冊。浪費、投資、節約、依存といった日常のリアルな場面で、脳内でどのようなエラーが起きているのかを紐解き、自動的にお金が貯まる実践的なアプローチを提示している。



