芭蕉門弟・惟然の生涯を絵本に 郷土史家・堀野さんが出版
芭蕉門弟・惟然の生涯を絵本に 郷土史家・堀野さん

岐阜県関市にゆかりのある江戸時代の俳人・広瀬惟然(1648~1711年)の生涯を描いた絵本「惟然 旅の途中~風羅念仏おどり物語~」が出版された。制作したのは、郷土史家の堀野慎吉さん(77)(関市武芸川町跡部)。戦争や歴史などの郷土の話題を取材し、絵本を作り続けている。

惟然の生涯と絵本への思い

惟然は現在の関市にあった造り酒屋の三男。若くして商家の養子となったが、妻子を残して仏門に入り、41歳(数え年)で芭蕉に出会って門下となった。翌年には「奥の細道」の旅を終えた芭蕉を大垣に訪ね、晩年の旅にも従い、病に倒れた師の葬儀を取り仕切った。

「水鳥やむかふの岸へつういつうい」「梅の花赤いは赤いはあかいはな」といった口語の擬態語を多用した軽妙な作風で知られる。芭蕉が亡くなった年齢と同じ50歳(数え年)で、惟然は「お師匠は、まだまだ旅を続け俳句を詠みたかったろうに……」と奥の細道を逆順にたどる行脚を開始。55歳(同)で「風羅念仏おどり」を創作し、各地でひょうたんをたたきながら踊り、師を追悼しながら俳句を広めた。

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絵本の内容と堀野さんの思い

堀野さんは、惟然が住まいにした関市の「弁慶庵・惟然記念館」を訪れて興味を抱き、資料を読み込んで絵本に仕立てた。絵本では、妻子を捨てた葛藤を「商売に明け暮れ、夫として父親としての重圧」が暴発したと描き、芭蕉との出会いでは「そなたは、よい句を詠むのお……。土のにおいのする素直な句は、人の心をほっこりさせる」と芭蕉に語らせた。晩年まで続いた旅については、絵本の最後で「口語俳句の祖と言われる惟然はこの地に眠るが、惟然の魂は、まだまだ旅の途中である」と結んでいる。

堀野さんは「自分の心に正直に生きた惟然の人間性にひかれた」とし、「自分はいかに生きるべきか、という苦悩の果てに、芭蕉に出会い、旅の中で生きるとは何かを求道し続けた人だった」と話す。「地元でも惟然を知る人は少ない。子どもたちのために残したかった」と絵本に込めた思いを語った。

出版記念の朗読会

絵本は税込み1500円。絵は同市在住の原真智子さんが担当し、地元の図書館などに200冊が寄贈された。

出版を記念し、「和奏と朗読の集い」が6日午前10時から正午まで、関市の「せきてらす」で開かれる。大正琴や尺八の演奏後、語り部の火風水さんが絵本を朗読する。協力金は2000円(サイン本含む)、定員80人。問い合わせは堀野さん(080・1608・2302)。

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