気候変動でヒマラヤの氷河が急速に融解、2010年代の減少速度が加速
ヒマラヤ氷河、2010年代に融解加速

国際研究チームが発表した新たな分析により、ヒマラヤ山脈の氷河が2010年代に過去数十年間と比較して最大65%速い速度で融解していることが明らかになった。この研究は、氷河の融解が気候変動によって加速していることを示す最も包括的な証拠の一つとされている。

研究の概要と主な発見

この研究は、カトマンズに拠点を置く国際総合山岳開発センター(ICIMOD)が主導し、複数の国際機関が参加した。研究チームは、1970年代から2010年代までの衛星画像や現地観測データを分析し、ヒマラヤ全域の氷河の質量変化を推定した。

その結果、氷河の融解速度は2000年以降に顕著に加速し、特に2010年代には毎年平均約0.28メートルの水相当量の氷が失われていることが判明した。これは、1970年代から2000年までの平均融解速度である約0.17メートルを大幅に上回る。

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地域別の差異と影響

研究によると、ヒマラヤ山脈の東部と中央部で特に融解が激しく、西部では比較的緩やかだった。この地域差は、モンスーンのパターンや気温上昇の程度の違いに起因する可能性がある。

ICIMODの氷河学者で主執筆者のフィリップス・ウェスタン氏は、「ヒマラヤの氷河は気候変動の最前線にあり、その融解は下流の水資源に直接的な脅威をもたらす」と述べている。ヒマラヤの氷河は、アジアの主要河川であるガンジス川、インダス川、ブラマプトラ川などの水源であり、約20億人の人々の水供給を支えている。

将来予測と対策の必要性

研究チームは、現在の温室効果ガス排出が続けば、今世紀末までにヒマラヤの氷河の体積の3分の2以上が失われる可能性があると警告している。これは、水不足や洪水リスクの増大、生態系の変化など、広範囲にわたる影響を引き起こす。

ICIMODの氷河学部門長で共著者のサミュエル・シェルパ氏は、「この研究は、気候変動の緩和と適応に向けた緊急の行動を求める警鐘である」と強調した。同氏はさらに、「国際社会は、排出削減と持続可能な水管理戦略の実施に協力して取り組む必要がある」と述べている。

この研究結果は、科学誌『サイエンス・アドバンシズ』に掲載され、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の今後の報告書にも活用される見込みである。

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