日本棋院の経営難と囲碁人気向上への課題
日本棋院の経営難と囲碁人気向上への課題

日本棋院が深刻な経営難に陥っている。囲碁人気の低迷によりスポンサー料や会費収入が減少し、約30年前から赤字基調が続いている。1993年度には57億円あった収入が、2025年度には27億円に半減し、4800万円の赤字を計上した。外部有識者を交えた経営改革委員会は昨年、2029年度にも資金が不足する恐れがあると指摘。先月就任した高尾紳路九段新理事長は記者会見で「このままでは日本棋院の存続すら危ぶまれる」と危機感を表明した。

棋士の手当・年金制度の見直しと本院売却の検討

日本棋院は棋士に対し、対局料や賞金とは別に毎年の手当や引退後の年金を支給しているが、その対象者が年々増加している。囲碁界には将棋界のような成績不振による強制引退制度がなく、棋士は望めばいつまでも現役でいられる。高尾新理事長は棋士の強制引退や定年制の導入を検討する意向を示しており、これは危機感の表れとみられる。また、老朽化が進む東京本院の売却も検討対象となっている。改修費の捻出が難しいためだ。手当や年金の見直しは棋士の生活に直結し、「聖地」と呼ばれる本院の売却に難色を示す棋士もいる。執行部には丁寧な説明と改革の推進が求められる。

囲碁ファン減少と普及策の必要性

国内で囲碁を打つ人の数は2015年の250万人から2024年には120万人と半減した。2000年前後には漫画『ヒカルの碁』の人気で囲碁ブームが起きたが、一過性に終わった。また、気軽に打てる「碁会所」の閉鎖も相次いでいる。こうした状況を受け、自治体と連携した子ども向け拠点の増設や、有名棋士による囲碁教室の開催、タレントや文化人との対局を動画配信するなどの施策が有効とされる。ファン拡大は経営改善の鍵であり、高尾新理事長は棋士の強制引退や定年制の導入を検討する意向を示した。これは危機感の表れだろう。

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国際舞台での活躍と囲碁文化の継承

今年1月、一力遼名人が国際棋戦「LG杯」で準優勝。一力名人は一昨年の「応氏杯」で優勝しており、日本人初の「世界二冠」まであと一歩に迫った。囲碁の世界の愛好者は約1800万人。日本の棋士が世界から注目されれば、新たなファン獲得につながる可能性がある。大陸から伝わった囲碁は平安貴族に愛好され、江戸幕府の保護を受けて日本の伝統として定着した。知力を尽くす棋士たちの姿が人々を魅了してきたこの文化を衰退させてはならない。日本棋院の改革と囲碁人気の復活が急務である。

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